日本における2014年頃の太陽光発電のコストの内訳は、図1のようになっています。住宅用の系統電力よりは既に安くなってはいるものの、火力発電コスト等に比べればまだ高いため、各要素ごとにコストを低減していく必要があります。モジュールコストについては、住宅用では非住宅用に比して割合が高くなっておりますが、これは営業・流通費等の違いが影響していると見られ、ハードウェア以外のコスト(ソフトコスト)の削減余地があると言えます。
一方でハードウェア面からのモジュールコストの削減については、下記のような取り組みが有効と考えられます。
- 変換効率の向上…同じ設置面積や周辺コストのまま発電量が増やせるため、コスト削減のために極めて重要です。
- 機器の耐久性・信頼性向上…同じ機器をより長く使えるようにすることで、生涯発電量を増やし、平均発電コストを引き下げられます。
- より低コストで製造できる太陽電池の開発…開発中のペロブスカイト太陽電池のように、より少ないエネルギーや低コストな設備で製造でき、軽量フレキシブルなモジュールも作製可能な太陽電池は、モジュールのみならず、架台や施工費用等も引き下げられる可能性があります。
- 製造技術の改良、量産規模の拡大
- SiCやGaN半導体素子の採用によるインバータ(パワコン、PCS)の小型化や耐久性向上
- 架台や設置工法の改良等も、コスト低減に寄与します(図2)。
- フレキシブル化などによる取り付けコスト低減(「貼り付ける」だけで設置するなど)
- 生産時のマザーガラスサイズの大型化(液晶テレビ同様の手法)
- 革新的技術の開発(量子効果の利用、新型多接合太陽電池など)
こうした多面的な取り組みにより、太陽光発電のコストは最終的に火力発電以下となり、もっとも安い電源のひとつになることが期待されています(図3)。 |