HOME > 組織図・メンバー紹介 > 水圏環境評価チーム > 研究紹介

水圏環境評価チーム


水圏環境評価チームは、H16年度にスタートし、現在、研究員5名(宮本健一、恒見清孝、岩田光夫、堀口文男、東海明宏)、CRM特別研究員1名(山本譲司)、契約職員4名(小竹真理、村井水保、川本朱美、鈴木貴子)で構成されている。前職が、民間企業、大学勤務など多彩なバックグラウンドを持つメンバーからなる。メンバーの共通項としては、「リスク評価を通じた臨床の知の蓄積を」「評価だけにとどまらず管理のあり方を積極的に提言する」「単葉なリスク評価にとどまらずリスク評価のシステム化を」におきたいという願いは、徐々に浸透しつつある。このような視点のもとで、各研究員は、図-1に示す課題をいくつかのキーワードにフォーカスを充てながら担うことで、リスク評価管理の専門領域の確立にむけて邁進している。

    

図
 


(1)グループの目標 

本チームは、陸水・海域の物質動態・暴露解析手法の改良と適用、化学物質管理における生態リスク評価手法(環境疫学的視点での)開発と適用、有害性評価手法の整備と適用、資源循環型社会における化学物質リスク管理手法の構築と適用、難燃剤を事例とした代替品開発戦略・技術の社会的受容性の検討といった領域の課題を担いながら、リスク評価手法とリスク管理手法の開発課題を進めてゆく。そこで今年度は、2つの課題;(a)第二期の中期計画として掲げたマルチプルリスク評価手法の開発に沿い、各課題に関係する基礎・応用研究に取り組むとともに、(b)今年度が、CRMの最終年度なので設立当初のミッションを完遂させる、ことを推進する。
 
横糸研究としては、各メンバーが担っているリスクトレードオフ評価書の策定,そのために必要な手法開発を最優先課題とし、適宜,コーチングの役割を互いに担いつつ、必要に応じて、チームの枠を越えた議論をすることで研究内容の充実をはかる。
 
縦糸研究は、ユーザーのニーズを組み入れたリスク手法開発につながることを明確に位置づけた課題設定とし、ニーズアセスメントも意識し,効率的に、推進する。それぞれの研究員の専門領域を掘り下げつつも、いままで不得手であった課題に共同研究を通じて挑戦し、自分の領域の幅をひろげることを推奨する。

以上の課題は、図−2に示すような、横糸研究に従事した経験をベースにして、新たな縦糸研究課題の展開につながることを期待している。

 

     図
 



(2)これまでの研究成果

これまで、メンバーが主に担ってきた課題として、詳細リスク評価書の策定に関しては、TBT、NP、塩素化パラフィン、ビスフェノールA、銅ピリチオンがあげられる。また、有害性評価に関し、1,3-ブタジエン、パラジクロロベンゼンを実施してきた。

縦糸研究は、手法開発であり、これまで、公開してきたものとして東京湾リスク評価モデル、伊勢湾リスク評価モデル、そして昨年度は瀬戸内モデルを公開した(図−3)。このモデルは、これまで専門家の中だけで議論されていた暴露解析の方法を、関心のあるユーザーにまで拡大しえたことに価値がある。

 

         図 
 


(3)今年度の課題


チームとして主体的に開発に携わるあるいは、適用を通じてその頑健性を検討する課題の領域は、図−4に示すとおりである。このようなスコープをもちながら、2001年次に設定された7年間を期限とするCRMのミッションを完遂するための研究業務を担う。

これらの課題を通じて、リスク評価手法、リスク管理手法、物質選択技法の一般化のための知識の抽出を日常的な課題となることを期待している。手法に流されるのではなく、現実の問題との格闘から「臨床の知」を確立することに意義を見出していただきたい。いずれも、リスク管理の文脈にもとづき、断片化されていた事実なり、知見なりを再構築することをめざす。

また、社会から、求められる分野の専門家として助言を求められたとき、例えば、審議会、委員会等での貢献を奨励するとともに、化審法審査関連業務への支援に応じて行う。センターの共通課題に関し、チームをまたいだミーティングを必要に応じて行う。

 

図

 

   


化学物質リスク管理研究センター

独立行政法人 産業技術総合研究所