"データ,人そして社会を繋ぐ詳細リスク評価書"
東海 明宏
産業技術総合研究所
「化学物質のリスク評価及びリスク評価手法の開発」、 pp47-52 (2007)
概要
詳細リスク評価の策定には,巨大なシステムが必要といえる.なぜなら,当該物質のリスクに関る社会的な関心にこたえるためには,現状の把握,評価の目標レベルの策定,現況の診断ならびに緊急性の判断,そして対策の導入の必要性の評価という多くの関係者のもつ知見,知恵の総合化のプロセスを必要とするからである.すなわち,詳細リスク評価書とは,多様なデータの活用,多段階の推論の手段の導入,多くの関係者の意思が1本の筋に織り上げられることなしには,構築しえない生産物である.本講演では,CRMで取り組んだ詳細リスク評価策定課題において,いかにしてデータがつながり,リスク評価の文脈が形成され,そしてリスクと向き合う社会に移行するための助言としていかに機能しうるか,に関し,策定の経験を踏まえて解説する.