"酵素反応及び反射分光光度法を利用したホルムアルデヒド放散量測定器の開発

1篠原 直秀、2梶原智寿、3落合聖史、4藤井実、2小林拓夫、2内富男、3柳沢幸雄


1
産業技術総合研究所
2ふくはうちテクノロジー
3東京大学
4国立環境研究所


室内環境学会誌 Vol.9 No.3 pp.75-81 (2007)


概要

居住環境において、短時間で簡易かつ精確にホルムアルデヒド放散量を測定する測定器(Passive Emission Colorimetric Sensor: PECS)及び反射分光光度法を適用した専用の反射光計を開発した。PECSは、外径23 mm、厚さ 3.2 mmであり、PET樹脂、保水紙、ホルムアルデヒドと酵素反応を起こして発色する試験紙から構成されている。純水を1滴PECSに滴下した後、放散源表面に貼り付けると、放散源から放散されたホルムアルデヒドがPECS中を拡散して試験紙上に到達し反応・発色を起こし、30分間の暴露で安定した結果が得られる。その発色強度を目視もしくは反射光計により測定することによって、放散量が現場で測定できる。PECSの発色に対する反射光計(照射光は青色及び緑色)の応答値と水溶液濃度の相関は、0.4〜20 µg/mLの範囲で非常に直線性が良かった(R2>0.99)。PECSとデシケーター法の測定結果は、非線形の相関(青色LED: y=0.225x0.444, R2=0.995,緑色LED: y=0.233x0.529, R2=0.992)を示した。この傾向は再現性があったため、この相関式を用いることによって、PECSの測定結果をデシケーター法により得られる放散量試験結果に変換できる。測定精度(N=7)は4.3%〜13%であった。また、定量下限値はデシケーター値で0.0593 mg/Lであり、F☆☆☆☆の建材からの放散量(0.3 mg/L以下)を十分に測定できることが確認された。

キーワード

Formaldehyde, emission rate, enzyme reaction, absorption photometry, desiccator method


化学物質リスク管理研究センター

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