"曝露・リスク評価大気拡散モデル(ADMER)全国版の開発と検証" 

東野 晴行, 井上 和也, 三田 和哲, 篠�ｱ 裕哉, 吉門 洋

産業技術総合研究所

環境管理, Vol.40 No.12 pp.58-66 (2004)  

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概要

曝露・リスク評価大気拡散モデル(ADMER)のver.1.0を開発した。関東地方に限定された暫定版(ver0.8β)から，計算範囲選択（作成）機能が追加され全国の任意の地域でのシミュレーションが可能となったことが，機能上最も大きな進展である。

窒素酸化物を対象としたモデルの検証を，既に実施している関東地方に加えて，近畿地方と東海地方で実施し，３地域での評価を行った。その結果，東京や大阪など大都市部及び近辺ではほぼファクター２以内になっているが，郊外都市においては，計算値は実測値に対して1/3から1/5に分布しており，過小となる傾向が見られた。

３地域全体では，観測点を含むグリッドの71%が計算値と実測値の比でファクター２以内に，91%が３以内に，97%が５以内に入った。検証結果から，計算結果は実際の環境を都市部ではほぼ反映したものとなっており十分な現況再現性を持つことが証明されたが，発電所など高所大容量の発生源の近傍で過大評価，郊外地域で過小となる傾向が見られた。

このような状況下における過大及び過小評価を改善するには，発生源近傍を対象としたモデルすなわち点源を対象とした拡散モデルや道路を対象とした線源モデルなどを組み合わせた評価が必要であり，ADMERに特定の狭い領域について詳細な解析が可能なモジュールを追加するのがよいと考えられる。

キーワード

exposure, risk assessment, dispersion model, chemical substances, PRTR