"化学物質の環境中濃度とリスクを計算する"
東野 晴行
産業技術総合研究所
化学と教育 , Vol.52 No.5 pp.298-301 (2004)
概要
化学物質の環境や人に対するリスクを調べるための最も基礎となる情報は,物質の環境中の濃度レベルがどれくらいかを知ることであるが,観測だけに頼っていては限界がある。本稿では,排出量から化学物質の環境中濃度分布を計算して物質のリスクを推定する方法として,環境濃度推定モデルを使う方法を紹介した。
ここではその例として,昨年度から実施されているPRTR制度で得られる排出量データを出発点として,著者らが開発した曝露・リスク評価大気拡散モデル(ADMER)を用いて大気中濃度分布を計算し,1,3-ブタジエンの発がんによるリスクの人口分布を計算する例を示した。本稿で取り上げたモデルや,PRTRの排出量データの入手方法の情報についても併せて紹介した。
キーワード
曝露,リスク,ADMER, PRTR, モデル