"メダカ(Oryzias latipes)を用いたオス魚より精巣卵を量的に検出するための新手法(小片化法)

林 彬勒1, 萩野 哲2, 籠島 通夫2, 芦田 昭二2, 岩松 鷹司3, 東海 明宏1, 吉田 喜久雄1, 米澤 義堯1, 冨永 衞1, 中西 準子1

1産業技術総合研究所
2住化テクノサービス株式会社
3愛知教育大学

日本水環境学会誌, Vol.26 No.11 pp.725-730 (2003) 


概要

本論文ではメダカ(Oryzias latipes)S-rR系を用いたオス魚より精巣卵を量的に検出する新手法(小片化法)の開発について述べる。エストロゲンや内分泌撹乱の懸念を有する化学物質に暴露された魚類に精巣卵が発現したかどうかの評価には今でも組織学的手法が用いられているものの、観察場所が限定されるため精巣卵の正確な数が把握できない等の短所があった。

今回開発された小片化法―すなわちホルマリン固定した精巣全体を解剖針等で小片化し、メチレンブルーやトルイジンブルーを含有したグリセリンで封入し、これを実体顕微鏡で観察する手法―では、精巣全体における精巣卵の数とそのステージを決定することが可能である。

更に、精子も確認できる。本手法は簡便で低費用であるばかりでなく、今後の内分泌かく乱影響評価における迅速化と定量化、及び精巣卵の形成と生物学的意義の解明等に関し有効な手法として利用できると考えられる

キーワード

testis-ova, fish,fragmented method, histological method, quantitative evaluation method


化学物質リスク管理研究センター

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