"魚類個体群レベルにおける生態リスク評価手法の提案―4-ノニルフェノールによるメダカ個体群評価のケーススタディ―

林 彬勒, 東海 明宏, 吉田 喜久雄, 冨永 衞, 中西 準子

産業技術総合研究所

日本水環境学会誌
, Vol.26 No.9 pp.575- (2003)


概要

200字程度 個体群影響の観点から化学物質の生態リスク評価を行う実践的な手法は未だにない。本研究では4‐ノニルフェノールによるメダカ個体群影響評価のケーススタディを通じ、個体群増殖率(λ)を評価エンドポイントとした評価手法の提案を試みた。

ヒメダカのフルライフサイクル毒性試験の原データを用いて、日ごとのタイムステープの齢構成行列個体群モデルを構築し、各4-ノニルフェノール曝露濃度におけるλを求めた。各濃度系で得られたλを元に個体群影響の閾値濃度と最小影響濃度(LOEC)、無影響濃度(NOEC)および最大許容濃度(MATC)を求めることにより、個体群影響の予測無影響濃度PNECを導出する評価手法を提案した。

その結果、4-ノニルフェノールによる魚類個体群影響のPNECは0.82〜2.10μg/lの範囲にあることが示唆された。こうした評価手法には適用限界があるものの、個体群影響の評価が可能であることを示した. 

キーワード

ecological risk assessment, population-level impact, nonylphenol, medaka, life-cycle test 


化学物質リスク管理研究センター

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