"室内における発生源からの化学物質の放散挙動とその測定法 〜PFSとPECS〜

篠原 直秀

産業技術総合研究所   

 第47回大気環境学会年会 (東京 2006/9/20)


概要

1990年代以降,住宅やオフィスが高気密化されたことにより、建材や内装材から放散される化学物質の室内濃度が上昇し、シックハウス症候群や化学物質過敏症等の健康被害が顕在化してきた。そのため、厚生労働省は1997年以降、13物質及び総揮発性有機化合物(TVOC)に対する室内濃度指針値を設定してきた1)。また、国土交通省は2003年に建築基準法の一部を改正し、新築もしくは改築住宅の換気回数が0.5 /h以上となる換気設備の設置やホルムアルデヒドを放散する建材の使用面積の制限を義務付けた2)。これらの法整備等により、新築住宅における化学物質の室内濃度は、ここ数年大きく減少している3)。ただし、これらの法律が適用されたのは新築住宅であり、既築住宅や室内の家具からの放散については対象とされていない。そのため、室内濃度が高い住宅は依然として存在していると考えられる。それらの家においては、実際の居住空間における発生源を特定し、それらの除去・改善を行うことが望まれている。室内の化学物質の発生源は多岐に渡っており、それらからの化学物質の放散量を把握するためには、簡易・安価かつ精確な放散量の測定法が必要である。本講演では、そのために開発された二種類の放散量測定器について紹介する。

キーワード

放散量,パッシブ法,室内発生源,境膜,分子拡散


化学物質リスク管理研究センター

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