"住宅内におけるVOC濃度,カルボニル濃度,換気量の日間変動 〜夏季調査〜"
篠原 直秀1, 片岡 敏行2, 高峰 浩一2, 中村 利美2, 本橋 勝紀2, 西島 宏和3, 佛願 道男4, 蒲生 昌志1
1産業技術総合研究所
2化学物質評価研究機構
3シグマアルドリッチジャパン
4日立化成工業
室内環境学会 (北九州 2005/11/21)
概要
カルボニル類やVOC類を対象とした室内空気質の調査は、これまでにしばしば行われてきているが、それらのほとんどは調査日における単回の濃度計測を基本としている。室内濃度の変動の大きさについては、ほとんど知見がないのが現状である。リスク評価においては、中長期の暴露レベルの分布(個人差)が重要であるが、既往の調査結果を単純に用いたのでは、暴露レベルの分布を過大評価し、結果としてリスクを過大評価することになる。中長期の暴露レベルの分布を適切に評価するためには、評価対象物質の室内濃度、放散量、換気回数といった項目について変動と分布の情報が必要になる。現状では、その変動や分布をほとんど裏付けのない仮定に依存せざるを得ない。室内空気質に係るリスク評価を妥当なものにするには、室内濃度や換気回数の日変動・季節変動の大きさについてのデータ取得が不可欠であるそこに測定された濃度と放散した量を代入することにより、各部屋間の空気交換量および外気交換量を求めることができる。住宅Aでは、3部屋の外気導入量から求めた平均換気率は0.59〜1.5回/hrであり、一週間の変動係数(CV)は52%〜71%であった。他室との空気移動量も、外気との移動量と同程度あり、部屋間の空気移動を考えずに算出した換気率は、過大になっていることが示唆された。また、部屋間の空気移動量のCVは27%〜104%であった。
キーワード
カルボニル類、VOC類、換気率、日間変動、暴露分布、リスク評価