"化学物質の環境中動態を理解する:マルチメディアモデルの概要と利用"
小倉 勇
産業技術総合研究所
ケミカルリスク研究会 (東京 2005/10/28)
概要
化学物質のリスクを正しく評価するためには、環境中に排出された化学物質が、様々な媒体・経路を経て、どのようにヒトや生態系に暴露されるのかを把握する必要がある。化学物質の環境動態を予測するモデルとして最も代表的なのが、Mackayのフガシティーモデルに代表されるようなマルチメディアモデルである。このモデルは、大気、土壌、水、底質などのそれぞれ単一なボックス型コンパートメントからなり、化学物質の物性を基に、各媒体間の移動や媒体内の蓄積を計算する。このモデルを使えば、対象化学物質がどの媒体に移動しやすいかを容易に把握することができる。また、構造が非常にシンプルなため、その基礎原理を知ることにより、化学物質の環境動態の理解を深めることができる。
マルチメディアモデルの概要とその基礎となる原理を説明し、実際にどのようなことができるのかを紹介する。キーワード
マルチメディアモデル, ChemCAN, fugacity model, 環境動態, 化学物質