"多媒体濃度データに基づくコプラナーPCBの経年的な発生源寄与解析"
小倉 勇
産業技術総合研究所
第14回環境化学討論会 (大阪 2005/6/16)
概要
環境残留性化学物質に対する対策の効果や今後の汚染状況の行方を予測するためには,それらの環境中存在量と各発生源との関連を知る必要がある。一般に,発生源に関する情報は不確実な場合が多いが,各発生源における化合物群の相対存在比(相対排出量)と環境中での相対存在比を比較することにより,各発生源の相対寄与について比較的信頼性の高い推定を行うことができる(ケミカルマスバランス法など)。しかし,相対存在比を用いた解析では,対象化合物間の環境中動態(揮発,沈着,分解など)に違いがある場合,発生源から対象環境までの間の相対存在比の変化が解析の誤差となる。そこで,マルチメディア型の環境動態モデルを活用し,化合物間の動態の違いを考慮した発生源解析手法を検討した。さらに,通常は単一媒体が解析対象となるが,多媒体濃度データを同時に扱うことを検討した。その利点は,より多くの情報に基づいた解析が可能になることと,媒体間の結果に整合性を持たせることで,結果の妥当性が向上することなどである。今回は,コプラナーPCBs (Co-PCBs)を含むダイオキシン類を対象化合物群とした。
キーワード
ダイオキシン,PCB,マルチメディアモデル,発生源解析,ケミカルマスバランス,レセプターモデル,CMB