"ノニルフェノールの観測値をベースにした実環境の魚類個体群レベル生態リスク評価"
林 彬勒, 山口 治子, 東海 明宏, 中西 準子
産業技術総合研究所
日本水環境学会第38回年会 (札幌 2004/3/17)
概要
化学物質による生態系への影響をどのように評価し,それを環境政策の中にどう位置づけるかが重要な研究課題である。生物の個体群存続という観点からの生態リスク評価は,これまでの科学的知見に基づいた最も現実的且つ合理的な考え方である。
これまでに我々の研究センターでは,ノニルフェノール(NP)によるメダカ個体群への影響評価のケーススタディを通じ,個体群影響の観点から実際の化学物質管理政策に生かすことのできる実用的な評価手法を開発した1)。
本研究では,開発した個体群レベル生態リスク評価手法を用いて,旧環境庁や建設省が平成10年度〜平成12年度に行われた全国一斉調査の観測値をベースにした実環境の魚類個体群レベル生態リスク評価を検討した。ここでは,主にその検討方法及び検討結果を中心に報告する。同時に,実環境のリスク評価の不確実性も示す。
キーワード個体群レベル生態リスク評価,実環境,個体群影響閾値濃度の超過確率