"Ecological Risk Assessment of Dioxins on Common Cormorant Populations"
Mariko Murata1, Shigeki Masunaga1, Junko Nakanishi2
1Yokohama National University
2National Institute of Advanced Industrial Science and TechnologySETAC/Asia-Pacific Symposium 2001 (Kanazawa, Japan 2001/11/2)
Abstract
本研究の目的は、日本におけるダイオキシン類(コプラナーPCBを含む)の生態系へのリスクを定量化することである。ダイオキシン類は、環境中に遍在して長期間残留し、ヒトの健康や生態系に及ぼす影響が懸念されている。日本においても法的な整備や排出源対策が進展したが、現在のところ、生態系への影響評価はなされていない。
生態系も視野に入れた対策の必要性の判断、生態系保護の観点からの環境基準値等の設定のために、野生生物への影響を定量的に把握することは意義のあることと考えられる。そこで本研究では、ダイオキシン類を蓄積しやすい生態系の高次栄養段階の生物である魚食性の鳥類を対象にリスク評価を行う。
リスク評価は、従来の個体レベルの評価(ハザード比:個体の生死にかかわる体内の無影響濃度と体内負荷量の比較など)から歩を進め、生態学の基本的な単位である個体群レベル(集団としての存続)で行う。リスク評価のエンドポイントは、わかりやすく汎用的であることが要求されること、個体群レベルの影響は直感的にとらえやすいこと、そして野生生物への影響は(個体数の極端に少ない絶滅の危ぶまれる種以外は)集団としての存続が問題となるためである。Keywords
ダイオキシン類、カワウ、生態系、個体群レベル、ハザード比