HOME > 国際学会参加報告 > 東野晴行
  

  
SRA 2007 Annual Meeting 参加報告

環境暴露モデリングチーム 東野 晴行

 

米国テキサス州サンアントニオにおいて、2007年12月9日から14日にかけて開催された、米国リスク研究学会(Society of Risk Analysis:SRA)の2007年大会に出席し、化学物質のリスク評価に関する国際的な研究動向を調査した。今年度の大会の参加者は、750人程度で、そのうち米国以外の海外からの参加者は100人強とのことであった(総会で正確な数字を言っていたが失念)。ここ数年、徐々に参加者は増加しているようである。私自身は、この学会に参加するのは3回目である。

 1日目(12/9)は、学会に関連したワークショップが例年開催される。今年のSRAでは、半日と一日のものをあわせて全部で20のワークショップが開催予定であったが、何らかの理由で2、3キャンセルされたものがあったようだ。私は、Rという統計解析用のプログラミング言語についての講義と実習(Statistical Analysis with the R Programming Language、講師 Dr. Patrick Gurian、Drexel University)を半日受講した。参加人数は10人程度で、世界各国から参加者があったが、日本人は私一人であった。PCをつかった実技(PCは事前にR言語をインストールしたものを持参する)が中心で、受講費用も比較的安く、R言語による統計解析の初歩を学ぶことができた。今後、モニタリングデータの解析などに役立てたい。

 2日目(12/10)から、学会が始まった。初日で、私が最も興味を持ったセッションはREACH規制に関するものである。REACH規制の概要や、REACH規制に対する米国EPAの考え方など、興味深い内容であった。REACH規制では、取り扱い事業者が自ら暴露評価を行う義務が課されるが、これを簡便に行うためのITツールについては、初期段階では間に合わないが、順次整備されていく予定であるとのことであった。我が国でも近い将来このようなツールが必要になるだろうと思われる。夕方にはポスター発表があり、私は、ベンゼンの暴露人口推定についての発表(Estimating population exposure to benzene in Japan)を行った。最初は皆さん食べ物に目を奪われていているのか(会場内軽食が用意されている)ポスターを訪れてくる人は少なかったが、時間がたつにつて徐々に増え、終了間際まで比較的多くの人が訪れてくれた。米国を始めとして世界各国の研究者と意見を交換できた。

 3日目(12/11)、4日目(12/12)と学会は続き、地理情報解析と可視化や、ナノテクノロジーのリスク評価、産業施設における決定解析などのセッションで、引き続き情報収集を行った。


化学物質リスク管理研究センター

独立行政法人 産業技術総合研究所