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ECOSUMMIT2007に参加して

生態リスク解析チーム 孟 耀斌  


           
◇ 会議名   ECOSUMMIT2007

◇ 日程   2007年5月22日〜27日

◇ 会議参加の目的   

研究結果を世界中の生態専門家の集会で発表し、意見を聞くことと、生態リスクの研究に関する情報収集を行うこと。

◇ 会議の概要、各自の発表、興味深かった発表、得られた知見など

ECOSUMMITは全世界の生態学者の盛会であり、2004年の第二回ECOSUMMITに続き、今回の第三回は中国北京で開かれた。これと同時に、東アジア生態学会連合(East Asian Federation of Ecological Societies)の年会が開催された。国際的に著名な研究者による基調講演がいくつかあり、S. E. Jorgensen教授(Ecological Modelling誌のEditor-in-Chief)は、彼の長期にわたる研究の生態系の新理論を紹介し、基本法則の十か条を提唱した。そのうち、生態系はExergyを消耗するシステムであることや、Eco-Exergyの概念や計算方法などを説明した。W. Mitsch教授(Ecological Engineering誌のEditor-in-Chief)は、生態修復についての教訓、経験(イラクのMesopotamia沼沢地など)を紹介しながら、生態系の修復は生態系機能の駆動力(driving force)のもとで進むと主張した。生態学と社会の持続可能な発展に関する興味深い啓発的な発表が多かった。Jianguo LIU教授は、世代人口と生態サービスへの圧力の関係に関する調査研究結果を紹介した。世帯が小さければ小さいほど、自然資源とエネルギー消費が増えるという調査結果によって、世代の中核化傾向、離婚率の上昇などは、生態系に大きく圧力を掛けることになると議論した。生態サービスのセッションでは、中国の研究者が、中国の最大湖である鄱陽湖の生態サービスの価格と、山東省沿岸部の生態サービスの価格の試みを報告したが、サービス評価における不確実性をどう扱うのかについては、まだ課題として残っている。POPsとヒトの健康リスク評価のセッションもあり、現在の中国の乳液中のPOPs暴露情況の調査した結果、暴露レベルは欧米のレベルを下回るので、安全であるという報告があった。自分の発表は、個体群レベル評価を行うためにNOECの影響レベルを統計的に判定した中間報告であり、この研究とデータ処理方法に興味ある方々に説明をした。訪れた研究者たちには、化学物質の個体群レベルリスク評価について理解してもらうことはできたが、NOECの影響レベルに関する解析方法は、毒性試験の詳しい知識が深く関連しているため、完全に理解してもらえなかったようだ。しかし、既存データを活用し、生態系の管理に有用な情報を出して不確実性を減らすという考え方は、研究者たちに評価された。



 


化学物質リスク管理研究センター

独立行政法人 産業技術総合研究所