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第27回北米環境毒性化学会年会参加報告
生態リスク解析チーム 加茂将史
11月5-10日に開かれたSETAC 2006 Montrealに参加してきました。重金属関連の話題が多く見られました。近年では、Biotic Ligand Modelが急速に発展しつつあります。BLMはpHやDOC、硬度など様々な環境条件により異なる重金属の急性・慢性の毒性を予測するモデルです。近年では指針値または目標値を一律適応ではなく、環境ごとに設けようという試みがなされており、そこでBLMが威力を発揮します。モデル変数を得るために実験し、モデルを構築して毒性を予測し、検証するためにさらに実験、という一連のループができているように感じられました。不思議なことに、BLMの日本での知名度はまだまだ低い。今手を出せばあなたは明日から日本一です。ただし、この分野は理論だけではだめ、実験もできなくてはなりません。両者が対になっていないと話をまじめに聞いてもらえないという傾向があります。これはBLMに限った話ではなく、私の発表でもそう。集団レベルでの評価の重要性はわかる、しかし、あなたの言ってることは実験で確認できるのかと、と問われます。モデルから得られた値はただの予測値、実験から得られた値のようには信用できないとのたまわれる。理論への不信感がまだまだ漂う世界です。必要だと言われ続けて30年、集団レベルでの評価が進まない理由もここにあるような気がしました。Putting ecology back into ecological risk assessments: the potential of modelingというセッションがありましたが、得るところはほとんどありませんでした。演者は9人、集団の絶滅確率をエンドポイントにしようと言ったのはたったの1人。生態学の分野ではこういうことをしています、という紹介をするだけというのもありました。生態リスク研究は日本が最先端のようです。生態学者が多く参入しているからですが、これは、異分野交流が苦手な日本ではまれなことだと思います。きっと、優秀なオルグがいたに違いない。ところが、内容では負けていませんが、世界での認知度がまだまだ低い。論文書くだけではだめで、やっぱり目立つところに出かけてわめき散らすことの重要性を再認識した学会でした。