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SETAC Asia/Pacific 2006参加報告

リスク管理戦略研究チーム 小林憲弘  

2006年9月17日〜20日に掛けて,中国北京市の北京大学で開催された,SETAC Asia/Pacific2006に参加した.SETAC(Society of Environmental Toxicology and Chemistry)は環境毒性・化学の分野における世界で最も大規模な学会であり,North America,Europe,およびAsia/Pacificの3つの地域で毎年学会が開催されている.

今回のSETAC Asia/Pacificでは,学会のorganization committeeから,CRMに「Environment exposure and human health risk assessment」というセッションを主催するように依頼があり,CRMの東野チームリーダーがこの企画セッションのchairpersonを勤めた.また,このセッションの前には,中西センター長がplenary speechとして,「Problems and challenges in current chemical risk assessment methodology」という演題で講演を行い,CRMや中西センター長を中心とした研究グループがこれまで行ってきたリスク評価に関する取り組み,および今後の課題について述べた.
 
私はこの企画セッションにおいて,「Risk assessment of lead for Japanese infants and children based on blood-lead concentrations」という演題で口頭発表を行い,これまで2年半にわたって行ってきた鉛の詳細リスク評価の研究概要を報告した.また,日本語版の評価書が9月に公表され,現在は英語版の評価書を作成中であることをアナウンスした.

上述したように,環境毒性および化学に関する学会であるので,学会全体としては,化学物質による環境汚染についての報告が多く,それらの汚染実態を基にリスク評価まで行っている研究は多くはなかった.また,どちらかというとヒト健康よりも生態リスクの方がメインである印象を受けた.また,しかし,リスク評価の方法論に関するshort courseも開催されるなど,リスク評価に対する関心の高まりを感じた.特に今回の学会を通じて,鉛やカドミウム,および砒素などの重金属類のリスク評価は,中国やその他のアジア諸国において重要な問題となっていることが伺えた.ちなみに今回の我々の発表は,環境中の鉛濃度に基づいて推定した小児の健康リスクを,バイオモニタリングの結果によって検証しているという点が,他のどの研究にもない特徴であった.

発表後,何人かの研究者から,評価書の英語版を読みたいというリクエストがあった.このように,鉛のヒト健康リスク評価に対して,諸外国でも強い関心が持たれていることから,できるだけ早くに評価書の英語版を公表する必要性を感じた.



 


化学物質リスク管理研究センター

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