− 新チーム紹介:健康リスク評価チーム −
チームリーダー 川崎 一
平成17年度より、CRMの組織にチームリーダーと3名のスタッフ(主任研究員、PDおよびテクニカルスタッフ各1名)よりなる健康リスク評価チーム(Health Hazard Assessment Team)が新たに発足した。CRMでは当面の目標として約30物質について詳細リスク評価書を作成することになっており、当チームではこれらの物質の有害性について毒性プロファイルを把握するとともに有害性発現メカニズムについて考察し、ヒトにおける健康影響レベルの検証を行っている。◆有害性評価研究
有害性評価研究は、図に示すようにライフサイエンスに関わる広い範囲の研究領域の成果と広い分野の研究手法を駆使して行われる。ライフサイエンス研究の進展はめざましいものがあり、そのため化学物質の有害性評価における有害性データの解釈も常に更新される。CRMが今、新たに評価を加える意義はここにある。◆新たな有害性評価手法への取り組み
最近、生理学的薬物動態(PBPK)モデルが化学物質のリスク評価に活用され、動物試験データをヒトに外挿する際の強力なツールとして注目されている。PBPKモデルを用いた解析により動物試験データからヒトへの外挿に関わる不確実性が小さくなり、定量的な推計の精度が高まる。同時に、有害性発現メカニズムについても有力な情報を提供することがある。当チームではPBPKモデルを開発するとともに公表されている多くのモデルの検証も併せて実施し、リスク評価の精度を高める努力を行っている。
代替試験法は欧州の化学品規制でも使用することが期待されている有害性評価手法のひとつである。急性毒性から発がん性あるいは神経毒性、免疫毒性などを試験管内で予測する技術の開発が望まれ、最近では遺伝子発現を指標とする研究が盛んである。
当チームではこれらの代替試験法の組み合わせ、あるいは統合化についての概念の構築、データ解析手法についての研究を行っている。
さらに、マルチプルリスク解析の一環として、混合物の有害性評価手法の確立を試みる。肝毒性、腎毒性、神経毒性を標的として、哺乳動物の培養細胞を用いる in vitro 評価系を用いて、混合物による有害性発現の解析評価を進める予定である。