−お知らせ−

 
◆図書出版案内 2005年1月出版

産総研シリーズ「化学物質リスクの評価と管理−環境リスクという新しい概念」
中西準子・東野晴行編,丸善株式会社,1,575円(本体価格1,500円) 

化学物質リスクの評価と管理について,現在CRMで進めている最先端の研究トピックスを取り上げ、できるだけ分かり易い言葉で表現した書籍です。第一章では、なぜ「安全」ではなく「リスク」を研究するのかという基本理念から研究体制に至るまでがまとめられています。

第二章ではCRMのリスク評価研究の最前線のトピック、第三章ではCRMが開発し、無償で公開している環境中の化学物質の暴露量推定モデルと教育用リスク評価ツールを紹介しました。第四章は、日本リスク研究学会会長の盛岡通先生を迎えて開催した座談会の内容を書き下ろしたもので、今後の日本におけるリスク管理研究の方向性について、課題や教育体制を含む議論が展開されています。

詳細リスク評価書シリーズ 

今号の特集でご紹介したフタル酸エステルおよび1,4-ジオキサンの詳細リスク評価書が、詳細リスク評価書シリーズの1と2として出版されました。どちらも、ヒトや生態系に対するリスクが顕在化、または予測される化学物質の科学的データに基づくリスク評価書で、CRMの研究活動の核となる横糸研究の成果であり、行政、企業、市民などが化学物質管理の方策を考える際に科学的な基礎となることが期待されています。

1 「フタル酸エステル−DEHP−」 
中西準子,吉田喜久雄・内藤航共著,丸善株式会社,3,150円(本体価格3,000円)

2 「1,4-ジオキサン」 
中西準子,牧野良次・川崎一・岸本充生・蒲生昌志共著,丸善株式会社,2,520円(本体価格2,400円)

◆環境濃度予測モデルに関するお知らせ
詳細はCRMホームページをご覧下さい(http://unit.aist.go.jp/crm/)。

曝露・リスク評価大気拡散モデル(AIST−ADMER)日本語改良版および英語版無償配布開始 

CRMが開発した、化学物質の広域大気濃度分布や曝露人口分布を予測するモデルAIST-ADMERの日本語改良版と英語版の無償配布を開始しました。改良版では、ユーザーからのご意見を基に、機能が強化されています。

「METI-LIS活用術ノート」更新 

経済産業省と独立行政法人産業技術総合研究所が開発した発生源近傍用大気拡散モデル、METI-LISを実際に活用していく際に、忘れがちな手順や機能、ふと起きる疑問への答えなどを辞書感覚で手軽に調べられる「METI-LIS活用術ノート」の内容が2005年1月7日付で更新されました。

水系曝露評価モデル(AIST-SHANEL)Ver. 0.8リリース 

CRMが開発した、化学物質の水系環境濃度推定および暴露評価を行なうモデルAIST-SHANELは2004年9月1日にVer. 0.8βが公開されましたが、現在は、Ver. 0.8がリリースされています。

◆学会発表(2005年2月〜2005年4月)

第39回日本水環境学会年会 
千葉大学 3月17日〜19日 


安田美香、林彬勒、東海明宏、中西準子 
・非イオン界面活性剤(アルコールエトキシレート)の環境暴露濃度の推定 

石川百合子、東海明宏、川口智哉、白浜光央、中西準子 
・水系における化学物質のリスク評価のための産総研−水系暴露解析モデル(AIST-SHANEL) の開発

編集後記 

2004年は、国内でも度重なる台風の上陸に加え新潟県中越地震が発生、自然災害の恐ろしさを再認識する年となりましたが、2005年も、12月26日に発生したスマトラ沖大地震とそれに引き続くインド洋大津波の被害が刻一刻と拡大する模様に心を痛める年明けとなってしまいました。自然災害のリスクとそれにまつわる不確実性の大きさには本当に計り知れないものがありますが、被害の拡大を最小限に留める人間の知恵が求められていることを強く感じます。本年もニュースレターを通じ、リスクサイエンスの可能性と限界に取り組むCRMの活動をご紹介いたします。


化学物質リスク管理研究センター

独立行政法人 産業業技術総合研究所