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校正業務

    
当研究室は「直流電圧」、「直流抵抗」の校正業務を行っております。日本に存在する抵抗、電圧のトレーサビリティの大元をたどると、本研究室にたどり着きます。

 
   

直流電圧
    「オームの法則」(V = R × I )(V :電圧、R :抵抗、I :電流)は、直流の電気量を扱う際に最も基本となる関係式です。それらの電気量の中で、V の基準となるのが「電圧標準」です。直流電圧の日本における国家標準は1977年から現在に至るまで、超伝導素子で生じる「ジョセフソン効果」という量子 現象を利用して実現されています(図1)。
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    2個の超伝導を、薄い絶縁層を介して十分に地被けると、トンネル効果によって超伝導電流が流れるようになります。このような素子をジョセフソン接合と呼び ます(図2)。そこにマイクロ波を照射すると共振現象が起こり、電流-電圧特性にとびとびの電圧値を持った櫛状の定電圧ステップ(シャピロステップ)が生 じます。各ステップの電圧値は、マイクロ波の周波数 とプランク定数、電気素量e、整数nによってのみ決まる普遍的な値((1)式)のため、これを利用して 電圧標準が実現されています。
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ここで(1)式におけるKJ は普遍的な基礎物理定数ですが、現実にその値を決定する際には測定精度に依存した不確かさが伴います。また、その値自体も今後、測定技術の進歩と伴に改訂 されていく予定のため、標準供給の上では実用上の不便が生じてしまいます。そこで、1988年に国際度量衡委員会(CIPM)は電圧標準供給における実用 上の協定値として、
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という値を、1990年1月1日より世界中で統一して用いることを勧告しました。この値不確かさをもたない定義値として、量子ホール抵抗標準におけるフォ ンクチッツィング定数の協定値RK-90 とともに、電気標準体系において今日まで用いられています。
    産総研の計測標準研究部門(NMIJ)では、ジョセフソン効果を利用した図1のシステムを、国家一次標準として定められた特定標準器として維持・管理して います。このシステムを用いて、計量法校正事業者登録制度(JCSS)の登録事業者が有する特定二次標準機(ツェナー標準電圧発生器なそ)が校正される、 というように直流電圧のトレーサビリティ(校正の連鎖)が保たれています(図3)。また、図1のシステムは、メートル条約に加盟する他の国々が保有する電 圧標準システムとの間で国際相互比較が行われており、これによって、日本が保有する電圧標準の国際的な同等性が保証されています。

                          Voltage_JJ3

参考文献
[1] 遠藤 忠:新しい電気の量子標準―ジョセフソン効果電圧標準と量子ホール効果抵抗標準―,応用物理, Vol. 59, No. 6, pp. 712724, 1990.
[2] 村山泰、坂本泰彦、桜庭俊昭、西中英文、遠藤忠:電圧標準, 電子技術総合研究所彙報 64, 5, 2000.
[3]
吉田春雄:ジョセフソン電圧標準装置のための位相同期回路,産総研TODAY, Vol. 10, p. 29, 2002.
[4] 浦野千春,金子晋久,桐生昭吾:量子電気標準の現 状,電子情報通信学会誌, Vol. 88, No. 10, pp. 829834, 2005.
[5]
大江武彦:量子電気標準の現状と研究開発動向,産総研計量標準報告, Vol. 6, No. 2, pp. 119127, 2007.
[6]
丸山道隆:ジョセフソン電圧標準の現状,産総研計量標準報告, Vol. 8, No. 2, pp. 263–278, 2011.
[7] http://staff.aist.go.jp/sakamoto.yasuhiko/



  

直流抵抗

直流抵抗標準は,二次元電子系を低温,高磁場下に置いた場合に,量子化されたホール抵抗が観測されるという量子ホール効果に よって実現されています。通常のホール効果の場合、磁場の増加に対してホール電圧は線形に増加しますが、量子ホール効果の場合,磁場に対するホール電圧の 変化は非線形になり,ホール抵抗 は以下の式で表される値で量子化します。
QHResistance
ここで, hはプランク定数、eは電荷素量、iは0 以外の自然数です。量子ホール効果はフォン・クリッチングによって1980年に発見され、その後の研究を経て1990年1月より世界の主要な標準研究 所において従来の標準抵抗に換えて量子ホール効果を使用しての抵抗標準の維持,供給がなされるようになっています。標準供給の際には、フォンクリッチン グ定数の1990年の協定値RK-90(25812.807 Ω)を用いています。

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