- 部門長 中野 享
現代の社会経済活動において、信頼性の高い計測はますます重要になっています。例えば、企業においては新製品の開発や新サービスの創出のために、量や質、能率や効果を測定する必要があります。また円滑な取引を実現するためには、測定の信頼性に基づき、公平で開かれた世界市場が保証されなくてはなりません。経済活動のみならず、私たちが直面する社会課題への対応、科学技術のさらなる発展においても、正確な計測は欠かせません。計測は、混沌とした状況の整理を進め、信頼できる将来の見通しを提供し、費用や時間の無駄を省き、公正な市場を保証するために重要な役割を果たしています。
信頼性の高い計測の礎となるのは、様々な量の計量標準です。物理計測標準研究部門では、電気、時間(周波数)、温度、光の4つの物理量に対して、各種の国家計量標準を開発し、これらを維持・管理するとともに、計量標準を供給することをミッションの一つとしています。計量ユーザのニーズに基づいて計量標準を計画的に整備し、他国標準との比較によって国際的同等性を確認して、産業界への校正サービスを着実に行ってまいります。また、測定技術の高精度化を一層進め、次世代標準の実現やSI単位の定義改定に貢献する研究開発を実施いたします。
さらに、これまで、計量標準の研究を通じて開発した各種の高度な精密計測技術や、詳細なデータ分析で蓄積した計測の専門知見・ノウハウを最大限に活用し、 新たな産業や価値を生み出す革新的研究や企業への技術の橋渡しに繋がる研究を、内外の研究機関・企業等と連携しながら行ってまいります。
当部門の強みである高度な精密計測技術が、計量標準とイノベーションの両面に貢献できるよう、その実現を目指して研究開発を進めてまいります。