治療レベルCo-60ガンマ線源を
使った水吸収線量標準の開発
 更新 2011/2/23

がん治療で用いられる大線量Co-60ガンマ線の水吸収線量標準を開発
世界中の水吸収線量にトレーサブルな標準
小さな不確かさにより安全な放射線治療に貢献

 日本放射線腫瘍学会が2009年に集計したデータによると2007年度に 日本国内で新規に放射線によるがん治療を受けた患者は18万人に達しており、 年々増加傾向にあることが示されています。放射線治療はがん細胞と 正常組織の放射線に対する感受性の違いを利用しており、 正常細胞を守るためにがん細胞に照射する線量を正確に決める必要があります。 この正確さは治療現場で5%程度(ICRU report 24)とされ、 国家標準の段階では1%未満とすることが求められています。

 人間の細胞はほぼ水で出来ているため、放射線治療で用いられる線量は 水吸収線量です。今回は水と元素的に近いグラファイトが吸収する エネルギーから水吸収線量を測定するカロリメータを製作しました。 放射線の受光部の温度をヒーターを使って0.00002度程度の範囲内の 一定温度に制御します。この状態で放射線を入射すると放射線がもたらす エネルギーの量だけヒーターの出力が下がるので、放射線量が測定できます。 結果はわずか0.00001ワットしかありませんが0.1%の不確かさでの測定が 可能になりました。


カロリメータが放射線から受ける熱量率の変化


グラファイトカロリメータ

2010年度産総研オープンラボより抜粋(2010年10月14-15日発表)