β線標準

更新 2011/2/23

β線は医学的治療、ライフサイエンス分野でよく取り扱われおり、正確な線量評価のために線量標準の整備が求められています。 また原子力関連施設では放射線被曝に対する安全管理の観点から、その標準へのニーズは大きい。 当所ではISO6980-2規格に準拠したβ線組織吸収線量標準を供給している。 ISO規格で着目しているのは、皮膚表面から0.07 mm深度における吸収線量(Dt(0.07))です。 個人被曝線量の測定においては皮膚組織の被曝線量の評価が重要だが、 皮膚の高感受性細胞は皮膚表面下0.05〜0.1 mmの間に 存在すると考えられており、70 μm線量当量(Hp(0.07))が皮膚の等価線量を評価するのに用いられています。 線量当量は、吸収線量と線質係数の積で表されるので(β線の線質係数は1)、Dt(0.07)の測定は、 直接皮膚の等価線量の評価につながります。

図5にβ線組織吸収線量測定装置の概略図を示します。 β線照射装置は右側に示しています。 線源はスタンドにマウントされ、シャッターはパーソナルコンピュータで制御されています。 図5の左側に、吸収線量を測定する外挿電離箱の電荷収集部周辺の概要を示します。 外挿電離箱は円筒型をしており、図はその断面図を示している。β線は図中右側の照射装置から照射されます。 入射窓は、PET薄膜の表面にアルミニウムを蒸着したものを装着し、電離箱の高圧電極を兼ねています。 測定したい量がDt(0.07)なので、電極用PET膜と薄膜フィルターの質量厚の合計が、7mg/cm2の組織と等価であれば理想的ですが、 薄膜を精度よく加工する事は難しい。そのため質量厚が7mg/cm2前後の複数の薄膜フィルターを用意して、 組織吸収線量の測定を行い、内挿法によりDt(0.07)を求めます。 この方法により膜厚の不確かさによるDt(0.07)の不確かさを小さくすることができます。 集電極と保護電極からなる可動電極は、表面にグラファイト処理を施したアクリル樹脂製です。 β線を照射することによって電荷収集部に生成した電子あるいはイオンは、集電極で検出し、電流値を測定します。 可動電極を動かすことによって、電荷収集部の体積を変化させることができ、正確な吸収線量の測定が可能です。



図5 β線組織吸収線量測定装置の概略図。右側:β線照射装置、左側:外挿電離箱の電荷収集部周辺部。