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メタンハイドレート生産技術グループ

メタンハイドレート生産技術グループは、3名の常勤研究員、1名の特別研究員、2名の招へい研究員、11名の契約職員の計17名で、産総研北海道センターを拠点にメタンハイドレートの資源開発および機能活用技術開発を行っています。

新たな天然ガス資源として期待されているメタンハイドレート資源開発において、メタンハイドレート貯留層からの高い天然ガス生産性と回収率を確保するための生産増進法の研究開発を行うと共に、天然ガス生産挙動の定量的解析のための断層などを考慮した貯留層モデルの開発、生産挙動解析シミュレータMH21-HYDRESによる生産性評価を行っています。また、液化天然ガスに代わる新たな省エネルギー的天然ガス輸送・貯蔵媒体としてのガスハイドレート利用促進を目的に、ガスハイドレート特有の自己保存効果と呼ばれる現象の発現機構解明や、新たな分解制御技術開発など、ガスハイドレートの機能を工業的に活用する研究開発を行っています。

研究内容

1. 天然メタンハイドレート堆積物の特性評価

メタンハイドレート貯留層からの高効率ガス生産のためには、天然メタンハイドレート堆積物の特性を正しく評価・理解することが重要です。しかしながら、通常メタンハイドレートは低温もしくは高圧条件でないと分解するため、天然の状態を保持したまま天然メタンハイドレート堆積物の特性を評価するのは困難です。そこで私たちは【天然の状態を保持したまま】で天然コアをハンドリング・分析することができる装置群(Pressure-Core Nondestructive Analysis Tools: PNATs)を開発し、天然メタンハイドレート堆積物本来の特性を評価しています。
PNATs開発にあたってはジョージア工科大学(GATech)ならびにアメリカ地質調査所(USGS)からのサポートを受けました。

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Fig.1 天然メタンハイドレート堆積物解析装置群(PNATs)

2. 高度生産手法の開発(安定・大量生産の実現)

メタンハイドレート貯留層から生産性、経済性の高いメタンガス増進手法を開発するため、コア試験とシミュレーションの相互比較を行うと共に、大型室内実験設備による検証を行っています。

3. 機能活用技術に資する本格研究

ガスハイドレートの機能活用における現状技術の問題点を整理し、基礎物性解析に関するナレッジを活用して、 ガスハイドレートを用いた産業育成に努めています。

グループの研究成果概要

大型室内試験装置を用いた生産挙動解析実験・天然メタンハイドレート堆積物の特性(水理・力学)の評価や、X線回折装置、Raman・赤外・固体NMR分光装置、SEM、X線CT装置、DSC、ガスクロマトグラフ装置などを用いたガスハイドレートの特性の理解を通じ、天然メタンハイドレート資源開発に資する研究およびガスハイドレートの機能活用研究を推進しています。

天然メタンハイドレート堆積物の特性評価(Natural-gas hydrate sediment、Geomechanics)

東部南海トラフ域から採取された天然メタンハイドレート堆積物について、PNATsを用いて天然に近い条件で非破壊評価しています。力学的な特性や天然ガスの含有量なども解析しています。また、今はまだPNATsでは評価できない特性解析については随時装置開発を進めています。
最近では日本近海の天然メタンハイドレート堆積物だけでなく、日本近海以外の海洋性天然メタンハイドレート堆積物についても、諸外国と協力しながらPNATsによる評価を実施しています。

関連論文:Yoneda et al., Mar. Pet. Geol., 2015, 66(2), pp 451-459 など

大型室内試験装置を用いた減圧法における生産挙動解析(Reservoir simulation)

メタンハイドレート貯留層からの生産性について、大型室内実験設備による解析を行っています。また、生産挙動予測シミュレータMH21-HYDRESを用いた生産挙動予測も合わせて実施し、より高いメタンガス増進手法の開発を目指しています。

関連論文:Konno et al., RSC. adv., 2014, 4, pp 51666-51675

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Fig.2 メタンハイドレート室内生産試験用高圧容器

ガスハイドレート分解特性を利用したガスハイドレートによるガス貯蔵・輸送技術開発(Gas storage/transportation)

ガスハイドレートの高いガス包蔵性に着目し、ガスハイドレートを天然ガス等の貯蔵・輸送媒体として利用するための研究を行っています。ガスハイドレート特有の準安定状態を利用することにより、氷点下の大気圧力近傍でもガスハイドレートの分解を抑制し、ガスを貯蔵することができますが、その分解抑制メカニズムが未解明であり、分解の制御が難しいという問題があります。
我々はガスハイドレート分解時の水分子の挙動を正しく理解することで、ガスハイドレートの分解を意図的に遅くする手法の開発に成功しました。

関連論文:Kida et al., Jpn. J. Appl. Phys., 2017, 56(9), artNo. 095601 など

ガスハイドレートの冷熱利用(PCM、Heat pump)

ガスハイドレートを蓄冷熱材料として利用する研究も行っています。ガスハイドレートは潜熱・顕熱が大きいため冷熱利用に適していますが、高圧条件や利用できる温度範囲が課題です。近年では、大気圧下、0~27℃で生成する準包接化合物(セミクラスレートハイドレート)に着目し、生成・分解温度制御や高潜熱材料の開発等の研究を進めています。

関連論文:Oshima et al., J. Chem. Eng. Data, 2016, 61(9), pp 3334–3340 など

ガスハイドレートの基礎物性評価(Crystallography、Guest-host interaction、Phase transition)

上記の応用研究開発だけでなくガスハイドレートの基礎物性(ガス包蔵性、結晶構造、相転移、新しいゲスト分子)についても研究しています。

関連論文:Jin et al., J. Phys. Chem. C, 2015, 119 (17), pp 9069–9075 など

fig4

Fig.3 ガスを包接することで相転移する準包接化合物(スケールバー:100 μm)
(a)P4/mmm →(b)Pmma
(Reprinted with permission from J. Phys. Chem. C, 2013, 117 (14), pp 6924–6928. Copyright 2013 American Chemical Society.)

発表論文

    (2018年)
  • Y. Konno, A. Kato, J. Yoneda, M. Oshima, M. Kida, Y. Jin, J. Nagao, and N. Tenma "Numerical analysis of gas production potential from a gas-hydrate reservoir at Site NGHP-02-16, the Krishna–Godavari Basin, offshore India–Feasibility of depressurization method for ultra-deepwater environment", Mar. Pet. Geol., (accepected).
  • J. Yoneda, M. Oshima, M. Kida, A. Kato, Y. Konno, Y. Jin, J. Jang, W. Waite, P. Kumar, and N. Tenma "Permeability variation and anisotropy of gas hydrate-bearing pressure-core sediments recovered from the Krishna–Godavari Basin, offshore India", Mar. Pet. Geol., (accepected).
  • M. Oshima, M. Kida, and J. Nagao, "Hydration numbers and thermal properties of tetra-n-butyl ammonium bromide semi-clathrate hydrates determined by ion chromatography and Differential Scanning Calorimetry", J. Chem. Thermodynamics, Vol.123, pp.32-37 (2018).
  • J. Yoneda, A. Takiguchi, T. Ishibashi, A. Yasui, J. Mori, M. Kakumoto, K. Aoki, and N. Tenma "Mechanical Reaction of Reservoir and Well Completion of the First Offshore Methane Hydrate Production Test at the Eastern Nankai Trough: A Coupled Thermo-Hydro-Mechanical Analysis", SPE J., (accepected).
  • (2017年)
  • M. Kida, Y. Jin, M. Watanabe, T. Murayama, and J. Nagao, "Improvement of gas hydrate preservation by increasing compression pressure to simple hydrates of methane, ethane, and propane", Jpn. J. Appl. Phys., 56, 095601, (2017).
  • Y. Konno, T. Fujii, A. Sato, K. Akamine, M. Naiki, Y. Masuda, K. Yamamoto, and J. Nagao, "Key Findings of the World's First Offshore Methane Hydrate Production Test off the Coast of Japan: Toward Future Commercial Production", Energy & Fuels, Vol.31, No.3, pp.2607–2616, (2017).
  • Y. Jin, M. Kida, Y. Konno, and J. Nagao, "Clathrate Hydrate Equilibrium in Methane–Water Systems with the Addition of Monosaccharide and Sugar Alcohol", J. Chem. Eng. Data, Vol.62, No.1, pp.440-444, (2017).
  • (2016年)
  • M. Kida, M. Watanabe, Y. Jin, Y. Konno, J. Yoneda, K. Yamamoto, and J. Nagao, "Hydrate Equilibrium Conditions for Water, Diethylene Glycol Monoethyl Ether Acetate, and Methane", J. Chem. Eng. Data, Vol.61, No.10, pp.3692-3697, (2016).
  • M. Oshima, M. Kida, and J. Nagao, "Thermal and Crystallographic Properties of tetra-n-Butylammonium Bromide + tetra-n-Butylammonium Chloride Mixed Semiclathrate Hydrates", J. Chem. Eng. Data, Vol.61, No.9, pp.3334-3340, (2016).
  • Y. Konno, Y. Jin, J. Yoneda, T. Uchiumi, K. Shinjou, and J. Nagao, "Hydraulic Fracturing in Methane-Hydrate-Bearing Sand", RSC Advance, Vol.6, No.77, pp.73148-73155, (2016).
  • Y. Jin, Y. Konno, J. Yoneda, M. Kida, and J. Nagao, "In situ Methane Hydrate Morphology Investigation: Natural Gas Hydrate-bearing Sediment Recovered from the Eastern Nankai Trough Area", Energy & Fuels, Vol.30, No.7, pp.5547–5554, (2016).
  • Y. Jin, M. Kida, and J. Nagao, "Phase Transition of Tetra-n-butylammonium Bromide Hydrates Enclosing Krypton", J. Chem. Eng. Data, Vol.61, No.1, pp.679-685, (2016).
  • Y. Konno, Y. Masuda, K. Akamine, M. Naiki, and J. Nagao, "Sustainable Gas Production from Methane Hydrate Reservoirs by the Cyclic Depressurization Method", Energy Convers. Manage., Vol.108, pp.439-445, (2016).

  • その他研究成果(2015年以前の発表論文含む)へ

メンバー

 
研究グループ長
神 裕介
Yusuke JIN
研究グループ長 専門:分子分光学、溶液化学 orcid
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研究員
米田 純
Jun YONEDA
研究員 専門:地盤工学、画像解析、数値シミュレーション orcid
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大島 基
Motoi OSHIMA
研究員 専門:物理化学、熱力学 orcid
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長島 大典
Hironori NAGASHIMA
特別研究員 専門:熱力学
客員研究員(招へい型)
木田 真人
Masato KIDA
北見工業大学
工学部地球環境工学科

助教
専門:物理化学 orcid
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今野 義浩
Yoshihiro KONNO
東京大学大学院
新領域創成科学研究科
海洋技術環境学専攻

准教授
専門:貯留層工学 orcid
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テクニカルスタッフ
深見 英司
Eiji FUKAMI
   
桝井 明
Akira MASUI
専門:地盤調査・岩盤計測・爆破掘削・発破振動
(地盤工学・鉱山工学)
 
羽田 博憲
Hironori HANEDA
専門:資源循環、産業保安  
渡邊 瑞穂
Mizuho WATANABE
専門:ガスクロマトグラフィー分析  
袴田 陽子
Yoko HAKAMADA
   
内海 崇
Takashi UCHIUMI
専門:高速X線CTイメージング、画像解析  
眞城 一憲
Kazunori SHINJO
専門:大型室内試験装置実験・解析  
泉 彰子
Shouko IZUMI
   
林 順子
Junko HAYASHI
専門:CTイメージング計測、画像解析  
池田 育子
Ikuko IKEDA
専門:分析化学  
山田 剛司
Kouji YAMADA