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太陽光発電研究センター

エネルギー・環境領域
 

補足資料

 

[Q&A] 太陽光発電のEPT/EPRについて

太陽光発電のEPT/EPRに関する質問事項をまとめています。

・"価格から考えて、太陽光発電はエネルギー的に元が取れないのでは?"

→ 遺憾ながら、間違いです。このような質問は、「製品やサービスの市場価格が、使用されているエネルギー量と完全に比例する」という主張を前提にしていると思われます。しかし、そのような関係は限られた条件でしか成立せず(*1)、科学的に正しいとは言えません。

また太陽光発電のライフサイクルについては、実際に使われる材料やエネルギーや製造工程を科学的に調べた結果が、日本・米国・欧州などの各国で複数報告されており、また多くの専門家による検証も受けています。企業秘密のデータも調べ、複数の企業のデータを平均して発表する工夫もされています。そして、太陽光発電が確かにエネルギー源になることを示しています

「太陽光発電はエネルギー的に元が取れない」という主張は、一般論として誤りだと言えます。

(*1)…用いるエネルギー源が異なるだけでも、市場価格は大きく変わります。たとえば服を乾燥機で乾かす場合と、天日で乾かす場合を比べてみましょう。乾燥機で電気やガスを使えば、お金がかかります。しかし同じように乾かせた場合でも、太陽や風は請求書を送ってきません。

・”太陽光発電のEPRは1以下(エネルギー源にならない)?"

→ 間違いです。「太陽電池がエネルギー源にならない」という主張は、実際の使用材料やエネルギー消費量を調べ上げた科学的(*2)な調査結果と矛盾しており、またそれ以上の信頼性があるとも言えません。誤った前提・手法による計算や、「疑似科学」(ニセ科学)と呼ばれる手法を用いて科学的事実に見せかけている例が見られますので、ご注意下さい。

(*2)…何が「科学的」なのか、はっきりと定義するのは難しいことです。しかし多くの場合、極力実際のデータに基づくこと、他の多くの科学的事実と矛盾しないこと、国際的な学会や論文誌などを通じて他の専門家によって広く検証されていることなどが求められます。

・”太陽光発電のEPRは、化石燃料に比べて低い?" "EPRが低いから、エネルギー的にも質が悪い?"

→ 遺憾ながら、何らかの誤解、もしくは詭弁と思われます。

そのような主張においては、運転(発電)で消費される燃料を無視してEPTやEPRの計算がなされていると思われます。しかし化石燃料を含めた枯渇性エネルギーではその原理上、運転用燃料の持つエネルギーの一部しか電力になりません。

これに対して太陽光発電では、無尽蔵の太陽光エネルギー吸収して発電します。

太陽光発電は同じ燃料から化石燃料火力発電より遙かに多い電力を発電でき、実際にはEPRやEPTの観点から化石燃料よりもずっと高性能だと言えます。これは我が国においても、少なくとも1995年(電力中央研究所 Y94009)から指摘されています。質問のような主張は、少なくともそれ以降は不適切であると言えます。

・" NEDO及び太陽光発電センターでは、CO2換算で発生するエネルギーを捉える方式を採っている為、EPTはその分短くなり、EPRは高く計算されているのでは?"

→ 遺憾ながら、これは事実に反しています。この記述は2001年当時のNEDO報告書No.010019372による将来の予想値を指していますが、当該報告書では「CO2換算で発生するエネルギーを捉える」ようなことはしていません。純粋にエネルギーだけでEPTやEPRを見積もっています。CO2の排出量とは、独立して計算されています。

当該報告書では、当時開発されたばかりの技術(ソーラーグレードシリコン製造法の一種)を前提に予測が行われました。現在そうした技術はまだ主流になってはいませんが、当時の想定以上に省エネルギーな製造法(冶金法など)が既に実用化されています。また旧来の手法(シーメンス法)でも、量産効果や技術改良によって当時より省エネルギーになっています。このため当時は予測であったEPTやEPRの値も、現在では現実的になっています。 こちらに最近の状況に基づくまとめがありますので、ご参照ください。

・"太陽光発電のEPTやEPRの計算では、使用材料を資源から製造するときのエネルギーを算入していないのでは?"

→ 遺憾ながら、こちらで紹介しているような計算結果に関する限り、これは事実に反しています。また、少なくとも当センターで把握しております限り、太陽光発電の主要な学術誌にそのような計算方法に基づくEPT/EPRの値が掲載されたような事実もございません。

太陽光発電のEPT/EPRの計算の際にどのような材料やエネルギーが計算対象になるかは、たとえば下記の文献に明記されております。お確かめ下さい。

・みずほ情報総研、太陽光発電システムのライフサイクル評価に関する調査研究、NEDO報告書No.20090000000073、2009年

山田興一、小宮山宏、太陽光発電工学、 2002年、ISBN4-8222-8148-5 (たとえばP.118)

・"太陽光発電のEPRは2程度(EPTが10年程度)なのでは?"

→ これは1991年の電力中央研究所研究報告 Y90015 に基づくものと思われます。当該報告書では、過剰に強固な架台や、現状の2倍以上のシリコンを使用するセルなどが想定され、現在一般的な利用状況には即していません。こちらの最近の報告のまとめ、およびこちらの当センターの公式見解 をご参照下さい。 また1995年に同じ著者によって数値が見直されているため(下記のY94009)、少なくとも15年前から引用には不適切な数字となっています。

・"太陽光発電のEPRは5〜9程度なのでは?"

→ これは1995年の電力中央研究所研究報告 Y94009 に基づいていると考えられます。この値は年10MWp程度の小さな生産規模と当時の技術に基づく見積もりですが、現在のように生産規模が大きくなるとEPRが向上するであろうことも、同じ報告書において指摘されています。現在は当時と桁違いの生産規模の工場(年数百MW以上)が出現し、技術水準も向上しており、当時よりもエネルギー源としての性能が大幅に上がっていると考えられます。これは国内外の複数の調査でも裏付けられています。

太陽電池の製造には様々な手法が使われていますが、市場の拡大に伴い、古くてエネルギー消費量の大きい製造プロセスが占める割合は縮小していると考えられます。こうした状況から、"5〜9"という値は既に古く、現在および将来の性能を表す値として不適切になっていると言えます。 使われませんよう、お願いいたします。

・"LCAの計算では、入力側のエネルギーを一次側を基準、出力側は二次側を基準として計算するのでは?"

→ このような計算方法ですとエネルギーの入力側と出力側で計算基準が食い違い、太陽光発電などのEPTやEPRも本来の値と数倍異なる値になってしまいます。正しくは、入出力のエネルギーの換算基準を一次側もしくは二次側に揃えて計算します。こちらの計算方法の説明をご覧ください。

・"EPTの計算の時は、投入エネルギーとして原料採鉱から設備製造までのエネルギーしか考慮しないのでは?"

→ この計算方法は、「最初に投入したエネルギーを取り戻すまでの時間」を見積もるときに使われることがあります。ただし、修理・保守・廃棄などに必要なエネルギーが考慮されていない(EPTの値がその分異なった値になる)点と、寿命を除算しただけではEPRに変換できないことに注意が必要です。当センターではEPTの計算の際、修理や廃棄などまで含めたライフサイクル全体での投入エネルギーを基準にしていますので、寿命を除算してEPRに変換することもできます。こちらの説明もごらんください。

(最終更新:2016年8月18日)

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