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太陽光発電研究センター

エネルギー・環境領域
 

太陽光発電のコスト

 

普及とともにコストが下がる

太陽光発電のコストは、現時点では一般的な火力発電のコストの数倍と言われます。しかし原油などと異なり、そのコストは普及と共に下がることが知られています。技術開発と普及の努力を計画的に進めることで、十分実用的なコストに下がると同時に、経済的にも大きな利益を生むと見込まれています。

太陽光発電設備は工業製品ですので、基本的にたくさん量産すればするほど、また技術が進むほど安くなります。

設備の製造コストは、これまで「普及量が2倍になるとだいたい2割安くなる」という経験則(*1)に従って推移しています(図1)。このままのペースでいくと、あと10年しないうちに電力料金より安い価格になりそうです(*2)。 一度電力料金より安くなれば、需要が増え、それがまた値段を下げる好循環に突入すると考えられます。また近年台頭してきた薄膜太陽電池では、現在主流の結晶シリコン太陽電池よりもさらに速いペースで価格が下がっており、地域によっては家庭用電力料金より安く発電できる製品が既に販売されています。

太陽光発電設備の市価は、技術開発・需給バランス・各国の政策・原料価格などの影響を受けて変化します。しかし基本的にその変化は緩やかで、かつ長期的には価格の低減が続いています。日本においては現在の数十倍程度の普及量になると、発電コストが火力発電のコスト以下になると予想できます(図2)。このようなコストの見通しは今後の技術開発を前提としていますので、今後の低減ペースには不確実性もあります。しかし現在ある技術を地道に発展させた場合でも、化石燃料による火力発電のコストよりも安くできるだろうと見られています(*3)。

このような価格低減は放っておいても実現するわけではなく、継続的な技術開発や普及促進の努力が必要です。また国内生産を確保したければ、国際競争にも負けないようにする必要があります。開発・普及に必要な費用も相応に大きく、決して甘くはありません。

しかし適切なペースで開発と普及を続ければ、十分に安くて価格も安定したエネルギーを国内で自給し、化石燃料に由来する各種のリスクも減らせるようになると見られます。また輸出による経済効果や環境保護の効果も期待できます。これにより、普及に必要な費用より遙かに大きな利益を国全体にもたらすと見込まれています

このため各国ともに技術開発と普及を競っています。欧州では2020〜2030年に現在の火力並の発電コスト達成を目指しているほか、米国はそれよりもさらに速く、2015〜2020年頃の到達を目指しています(*4)。日本では2030年までの到達を目標としていましたが(*5)、近年の世界情勢の変化を受けて、これも計画が前倒しされています(図3)。

これまで原油価格などの急騰にもかかわらず、太陽光発電のコストは低減傾向を続けてきました。一方、原油など枯渇性燃料の価格は長期的に上昇が見込まれています(*6)。これを考慮しますと、太陽光発電のコストが多くの国で火力発電のコストを下回る時期は、上記よりさらに早まると考えられます。そしてその頃には太陽電池は、先進国だけでなく、途上国も含めた世界中で使われるようになると見込まれています。


(*1)…このような経験則は半導体や液晶など様々な工業製品でみられ、経験曲線効果と呼ばれます。両対数のグラフに累計の生産量(普及量)とコストをプロットすると、ほぼ直線状に推移します。

(*2)…電力料金より安くなることをグリッドパリティ(grid parity)と呼びます。既にこれに近い生産コストを達成していると表明する企業(First Solarなど)もあり、多くの国においてグリッドパリティが達成されるのは時間の問題と見られています。

(*3)…変換効率を11.5%に高めた薄膜シリコン太陽電池をステンレス薄板上に連続生産し、簡略化したモジュール構造にした場合の見積もりでは、70円/Wp以下のモジュール製造コストになると見られています(小西、太陽光発電用超低コストモジュール製造技術の提案、2009年2月)。

(*4)…欧州はEREC Technology Roadmap 2020、米国はSolar America Initiativeプログラムなどを参照。

(*5)…NEDOロードマップ"PV2030"では、2030年頃に7円/kWhの発電コストの達成を目指していましたが、2009年の"PV2030+"において2025年に前倒しされました。

(*6)…たとえば、IEA(国際エネルギー機関)やEIA(米国エネルギー省エネルギー情報局)では、今後は原油価格が恒常的に100ドル/バレルを超えるようになる可能性が高いと予測しています。

(最終更新:2009年11月8日)

製造コストの変化

↑図1 欧州でのモジュール製造コストの変化 (クリックで拡大します)

※欧州共同研究センター(JRC)および各社資料を元に作成

日本における発電コストの推移

↑図2日本国内での住宅用太陽光発電システムの発電コストの推移 (クリックで拡大します)

fig3

↑図3日本における低コスト化のロードマップの例(NEDO PV2030+) (クリックで拡大します)

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