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Ⅳ−1 エネルギー・資源 〜日本の危機克服、世界に貢献〜

① 再生可能エネルギーを中心に分散型電源の技術に磨きをかけ国際競争力を高めよう。
●太陽電池の高効率化、高耐久性化、低コスト化につながる研究開発を促すと同時に、日本製品の品質の高さを明確にできる国内外の規格づくりに貢献する。
●再生可能エネルギー導入の課題とされる電力の変動緩和や、送電網が変動を許容できる余裕を高めるためパワーエレクトロニクスや蓄電池などのエネルギー貯蔵技術、エネルギーネットワーク技術の研究開発に力を入れる。また、システムのマネジメントと評価方法の技術開発により最適化に関する研究開発を実施する。
●上記技術に加え、風力や地中蓄熱などの技術と統合し、福島再生可能エネルギー研究開発拠点をインテグレーション技術実証の先導的なモデルとして構築する。
② 省エネ型の社会インフラ(スマート・エネルギー・インフラ)技術を開発・普及させ海外へのパッケージ型輸出を目指そう。
●省エネ型の社会インフラ整備のために蓄電池、燃料電池の高性能化、信頼性向上、低コスト化を実現する研究開発を強化するとともに、ヒートポンプやエンジンの要素技術の向上によってエネルギー変換における省エネ化を促す。
●家庭や工場、車の排熱など未利用熱を上手に利用する技術を開発し、総合的なエネルギー消費の低減につなげる。
●不揮発性メモリーや光ネットワーク、調光窓材、高効率照明などITや家庭のエネルギー消費を減らす技術開発に取り組む。また、MEMS技術を活用したセンサーを用いたクリーンルームシステムの省エネ化に取り組む。
③ 資源探査・掘削の自前技術の蓄積に努めるとともに国内資源の状況を正確に把握する調査を推進しよう。
●未利用の地下資源であるメタンハイドレート、シェールオイル、海底鉱物の国内賦存量を把握するため地質調査を進め、資源量を的確に評価できる知的基盤としての地質情報を整備・提供するとともに、メタンハイドレートについては生産に必要な技術開発にも取り組む。
●地熱資源の分布地図や、地中熱の利用適地を示した地図の整備を進める。また、排熱などの未利用熱マップの作成・整備を進める。

Ⅳ−2 革新的医療・創薬 〜豊かな高齢化社会へ技術力結集〜

① 創薬プロセスの効率化を通じて革新的な新薬を生み出そう。
●国内製薬企業との研究協力を深め、国立がん研究センターや大学病院といった医療機関との連携を強めることを通じ、新薬候補化合物の薬効など早期に解明するプロファイリング技術など合理的な創薬を目指した技術開発を重点化する。創薬プロセスでは、薬効や副作用のメカニズムが未解明なため臨床試験段階で開発続行を断念する化合物が多い。化合物の作用メカニズムを明らかにし創薬プロセスの最適化をはかることが重要だ。
●国内製薬企業での取り組みが遅れているバイオ医薬品製造に関わる技術開発を推進する。
② 世界に先駆けて再生医療の産業化を加速しよう。
●企業との連携を強め幹細胞の標準化研究、安全で効率が高い幹細胞作製、および分化手法などの研究開発に取り組む。
●再生医療の普及を目指し、より安価で安全な幹細胞培養を可能にする新しい培養装置や周辺機器などの開発を推進する。
③ 元気な高齢化社会をつくる医療機器の実用化に取り組もう。
●医療機器開発の迅速化と薬事審査の円滑化に必須なガイドラインの作成、研究戦略、知的財産戦略、標準化戦略の強化、医療サービス・技術の高度化、人材育成などに貢献する。
●革新的医療機器の安全性などを評価するレギュラトリーサイエンス*4の拠点づくりを通じて実用化を支援する。
*4 レギュラトリーサイエンスとは、科学技術基本計画(第4期)において「科学技術の成果を人と社会に役立てることを目的に、根拠に基づく的確な予測、評価、判断を行い、科学技術の成果を人と社会との調和の上で最も望ましい姿に調整するための科学」とされている。

Ⅳ−3 先端材料・製造技術 〜ものづくり王国復活へ〜

① ナノテクノロジーの応用でものづくりを革新しよう。
●TIA連携棟(平成25年3月完成予定)を活用しながら、ナノテクノロジー分野の研究開発・実証から性能・安全性評価、人材育成を果たす、世界的なナノテク拠点「つくばイノベーションアリーナ(TIA)」の機能強化を目指す。
●ナノカーボン材料の産業化を加速するとともに、ナノテクノロジーをフルに活用した次世代磁性材料や未利用熱エネルギーの革新的利用に資する蓄熱、断熱、熱電材料等の開発を目指す。
●ナノ材料に関する知的基盤の整備を進めるとともに、ナノ材料の安全性に関する国際標準を策定する。
② 分散型資源に立脚した新しいものづくり(グリーン分散型ものづくり)を追求しよう。
●新たな環境指標を取り込んだ製品の設計支援技術の開発や廃棄物を最小化する製造技術の開発、環境負荷低減を実現する触媒技術の開発に取り組む。
●バイオマス燃料の低価格化、安定供給が可能な製造技術と、化学製品をバイオマス原料から製造する技術の研究開発に取り組み総合的にバイオマス利用の拡大に貢献する。
●リサイクル資源を活用した材料開発と副次的に産出されるレアメタルの有効活用技術を開発するとともに、レアメタルの効率的リサイクル技術を確立する。
③ 自立分散型生産システムで顧客視点を重視したものづくりに挑もう。
●微細加工技術、インプリント技術、MEMS(マイクロマシン)技術の高度化や低コスト化、フレキシブル化を通じ実用的な自立分散型デスクトップ工場システム(半導体、機械、化学等)を実現する。
●ミニマル生産システムに関する規格化・国際標準化を推進する。

Ⅳ−4 IT・サービステクノロジー 〜データ革命で価値づくり〜

① もの・ことづくりを目指して「サービステクノロジー」の研究開発と活用に取り組もう。
●サービステクノロジーに基づく価値共創を実現するエコシステムとしてイノベーションのネットワークをデザインし、その中核研究機関となることを目指す。研究開発、社会実践、人材育成などを通じて方法論を確立する。
●サービステクノロジーとして、サービスを受け取る時点での顧客満足度理解技術、ビッグデータの活用技術などを整備する。
② 情報(データ)をヒト、モノ、カネに次ぐ経営資源として活用し新ビジネスを創造しよう。
●IT・サービステクノロジーを基盤とした新たなビジネス創造の試行錯誤が容易に出来るように、産総研データバンク等の知的基盤を整備し、保有するデータの二次利用を促進するシステムを提供する。
●実践的なパイロットサービスを産学官連携のエコシステムの中で構築する。公的サービスの生産性向上や、ものづくりとことづくりの統合による製造業のサービス化、メディアコンテンツ、地域生活支援、地域内エネルギーサービスなどの新サービスをデザインする。
③ ビッグデータを活用するための情報セキュリティ技術を開発・利用しよう。
●安全化が進んだ通信路よりも、クライアント(スマートフォン・ICカード等)、情報端末(クラウドのためのデータセンター等)への侵害に対抗する技術、またセキュリティ事故が起こったとしても致命的事態に陥らせないための技術開発と情報発信に努める。
●人間に代わって機械が判断を下すM2Mの時代に備え、社会基盤となるシステムの安全性や信頼性を高める技術を開発しITによるスマート化をデザインする。

Ⅳ−5 人材育成 〜創造力は多様な個性から〜

① オープンイノベーションに挑む視野の広い高度技術人材を育てるため産学官の連携による「人材育成オープンプラットフォーム」を創設しよう。
●産総研イノベーションスクールやつくばイノベーションアリーナ、組み込み適塾など、で実践している産学官連携の場を活用した人材育成の考え方や手法を広く展開する。産総研のイノベーションハブ機能を活用し広い視野の高度技術人材とプロデューサー的センスを持つ人材の育成の場として、多様な人材が参加でき刺激し合える「人材育成オープンプラットフォーム」を産業界や大学と協力して拡充する。
② グローバル課題に挑む人材の育成に向け大学や公的研究機関は英語を公用語化するなど「人材開国」に取り組もう。
●ポスドクなど外国人研究者を積極的に呼び込み、日本企業で活躍できる人材や所内の中核研究者として育成し輩出する。
●国際標準化、国際共同研究など国際機関や海外機関との多様な協働作業を積極的に進め、グローバル課題に自ら取り組むなかで職員に論理展開力やコミュニケーション力を実践的に獲得させる。
●研究現場における英語の公用語化を積極的に推進する。

Ⅳ−6 国際標準化 〜知財大国へ「技術外交」強化〜

① 企業は最高標準化戦略責任者(チーフ・スタンダード・オフィサー、CSO)を任命し国際標準化戦略を事業戦略に直結させよう。
●産総研の強みを生かせる安全や新機能性の領域で国際標準を積極的に提案する。また、日本が国際標準を提案していくために必要な戦略的な計量標準の整備に取り組む。
●国際標準化活動に参加する人材を増やしOJTを通じた人材育成を強化する。
●アジア諸国の工業インフラとしての計量、認証、認定などの制度整備を支援する。
② 国際的な存在感のある認証機関を産学官連携で育てよう。
●生活支援ロボットの安全性、太陽光発電パネルの信頼性などの試験方法や認証規格の策定、試験機関の技能評価を通じて、認証のスキームを開発し民間への移転を目指す(パイロット認証づくり)。
●企業の試験設備を性能評価(認証)に使えるよう国際標準に基づく技能試験などの必要な支援サービスを提供する。すでにパナソニックのLED性能評価試験場などの実例がある。
●日本企業のグローバル展開を支援するため、産総研のグローバルネットワークを活用した標準化・認証に関するワークショップの海外開催に力を入れる。

Ⅳ−7 その他

●共通的な取り組みとして、新しいものづくり技術の社会への実装においては、性能評価とともに垂直連携の強化が重要であることから、産総研が強みを持つ技術領域において企業ニーズの把握と川上・川下産業を繋ぐための仕組み作りを推進する。
●日本の産業を支える高い技術力と旺盛な研究開発意欲を備えた中堅・中小企業とのネットワークを産業技術連携推進会議、連携千社の会などを通じて広く構築し、中堅・中小企業との共同研究を展開するとともに技術サポートを拡充する。

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