NMIJ国際計量室

産業技術総合研究所
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OIML条約 ( 国際法定計量機関を設立するための条約 )


    Convention establishing an International Organization of Legal Metrology

1. はじめに

計量の国際的な枠組としてはメートル条約が存在し、科学的な計量単位の定義、表記、使用方法を定めています。しかしその一方で多くの国において、市民生活に密着した商取引や証明行為に用いられる計量器について、その信頼性や測定結果の同等性を確保するための技術及び社会的な制度が必要とされています。このような実用的な計量制度のうち、法律に基づいて規制される管理体系は法定計量(Legal Metrology)と呼ばれています。以前は各国が独自の法定計量制度を構築して計量器を管理していましたが、近年の計量器の輸出入の拡大に伴い、貿易における技術障壁を取り除くことが求められるようになりました。そこで計量器の技術基準、及びその適合性評価の手続きを国際的に調和させる必要が生じました。

2. OIML と加盟国

OIML 条約は、加盟国の法定計量規則を整合化することにより、計量器の国際貿易の円滑化を図る目的で、1955年に22ヶ国の参加を得てフランスのパリで締結されました。日本の加盟は1961年です。2019年6月現在の正加盟国は61カ国、準加盟国は61カ国です。条約加盟国は、総人口と経済力に応じた加盟分担金を毎年支払う義務があります。OIMLの常設の事務局であるBIML(国際法定計量事務局)はパリに置かれています。

3. OIML の組織

4年毎に開催される最高議決機関である国際法定計量会議(OIML総会)の下に、実質的な理事執行機関である国際法定計量委員会(CIML)があります。CIMLの監督の下に、対開発途上国常任作業部会、技術委員会/小委員会、国際法定計量事務局(BIML)が置かれています。


組織と運営


4. OIML の主な活動

4.1 国際勧告(R)、国際文書(D)、その他の策定、発行
国際勧告 (International Recommendation: R) は計量器の国際的な技術基準の雛形となるものです。OIMLでは商取引、健康、安全、環境分野等で使用される計量器の国際勧告を作成しています。加盟国は国際勧告を可能な限り国内法規に取り入れる道義的責任があります。国際勧告は、(1) 計量及び技術要求事項、(2) 計量管理及び性能試験、(3) 試験報告書の様式の3部から構成されています。これ以外に、法定計量の共通的課題への指針を与える国際文書(International Document: D)、OIMLの規約である基本文書(Basic Document: B)、用語(Vocabulary: V)、ガイド(Guide: G)などがあります。これらの文書の国内規制への導入は加盟国の裁量に任されており、その際に修正を加えることもできますが、加盟国はOIMLの決定をできるだけ受け入れる努力義務を負っています。既に発行されたOIML文書は150種類を超えます。

4.2 OIML 証明書制度(OIML-CS)
多くの国において一部の計量器が法定計量制度において管理されており、我が国では特定計量器と呼ばれています。そして計量器の信頼性を確保するために型式承認制度と検定制度が運用されています。型式承認制度とは生産される計量器の基本設計(型式)に関わる適合性評価で、試験機関と発行機関によって運用され、合格した計量器には証明書(型式承認通知書)が発行されます。そして発行された型式の証明書と試験報告書を相互に受け入れるための国家/地域/国際的な枠組みも構築されており、そのうちOIML が提供する制度をOIML 証明書制度と呼びます。
OIMLでは基本証明書制度が1991 年に創設され、2017 年まで運用されました。この制度では全ての加盟国が基本証明書を発行することができ、その受入れも各国に任されていました。その後、より信頼性の高い国際相互承認制度である MAA(型式評価国際相互受入れ取決めの枠組み)制度が2006 年に発足し、R 49(水道メーター)、R 60(ロードセル)及びR 76(非自動はかり)の3つのカテゴリーについて2017 年まで運用されました。MAA 制度では、その主旨に賛同する参加機関のみが相互信頼関係に基づいて積極的に参加し、試験機関には ISO/IEC 17025「試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項」が要求されました。参加機関には、他の発行機関が発行した証明書を受け入れる義務がありました。
2018年には、基本証明書制度とMAA 制度を統一したOIML 証明書制度OIML-CS(Certification System)が発足しました。OIML-CS においてMAA 制度と基本証明書制度は、それぞれ実質的にスキームA 及びスキームB として残りましたが後者は暫定的で、究極的にはスキームA(MAA 相当)への移行を目指しています。発行のための資格については、試験機関に対するISO/IEC 17025 の要求に加えて、発行機関にISO/IEC 17065「適合性評価-製品、プロセス及びサービスの認証を行う機関に対する要求事項」が適用されます。OIML-CSへの参加機関はOIML ホームページにおいて公開され、型式承認を申請する製造事業者(申請者)は、計量器に適した任意の発行機関を選ぶことができます。そして得られたOIML-CS 証明書を輸出相手国に提出し、国内型式証明書への転換を要請します。

4.3 開発途上国の計量基盤整備の支援
OIML における開発途上国の要望を把握するために、かつてはドイツが開発途上国ファシリテーター(世話人)を担当していましたが、その役割も2012 年に解消されました。しかし、途上国支援活動に対する要望は根強く、2013 年に中国の提案に基づいて計量制度の整備途上にある国及び経済圏(CEEMS)のための新たな諮問部会が組織され、研修やセミナーなどの活動をおこなっています。

4.4 他機関との連携
OIMLは他の国際機関である国際度量衡局(BIPM)、国際標準化機構(ISO)、国際電気標準会議(IEC)、国際試験所認定協力機構(ILAC)、国際認定機関フォーラム(IAF)、国際計測連合(IMEKO)、国際連合工業開発機関(UNIDO)、世界貿易機関(WTO)などと密接な協力関係を有しています。更に法定計量に関わる地域機関(RLMO)として、欧州法定計量協力機構(WELMEC)、欧州標準化委員会(CEN)、欧州電気標準化委員会(CENELEC)、欧州-アジア国家計量標準機関協力機構(COOMET)、アメリカ全大陸計量システム(SIM)、アフリカ内計量システム(AFRIMETS)、アジア太平洋法定計量フォーラム(APLMF)などと協力関係を有しています。OIML と関係機関とのMoU(覚書)は、ISO、IEC、UNIDO/BIPM、ILAC/IAF とのあいだで締結されています。

5. 日本の OIML 条約への対応

わが国は1961 年にOIML に加盟し、2000 年以前は(旧)計量研究所(NRLM)が、それ以降は産業技術総合研究所がCIML 委員を提供しています。メートル条約とOIML 条約は経済産業省 産業技術環境局 計量行政室が所管し、BIML との連絡や審議案件等への対応については国際計量室が支援しています。OIML 技術活動については、国際法定計量調査研究委員会(略称:国法調委)が担当し、その事務局は経済産業省から委託を受けた(一社)日本計量機器工業連合会が担当しています。国法調委には、合計26 の作業委員会が存在します。
産業技術総合研究所はOIML証明書の試験機関と発行機関を担当しており、R60「ロードセル」及びR76「非自動はかり」の証明書を発行しています。また、過去にはR49「水道メーター」及びR117「燃料油メーター」の証明書を発行していました。TC/SCについては、2011年から産業技術総合研究所がTC8(流体量の測定)事務局を担当しています。更に2016~2018年の期間に同センターは、TC8/SC7/p7(R 139: 自動車用圧縮ガス燃料の計量システム・改定プロジェクト)の合同世話人を担当しました。

6. 参考資料

6.1 OIMLホームページ(英語のみ)

6.2 OIMLの組織と活動のあらまし(刊行物及びTC/SCリストを含む)

6.3 CIML委員会とAPLMF総会の報告

6.4 その他