拠点総括責任者(理事長)あいさつ
産業技術総合研究所 理事長
中鉢 良治
21世紀になって、人類は地球環境を維持・改善しながら、いかに成長を続けていくかという、これまでにない重大な課題に直面しています。産総研は、わが国の産業技術水準を向上することによって、持続的発展が可能な社会の実現を目指しています。真に社会が必要とするイノベーションを創出していくために、産業界・社会との連携・対話を深め、さまざまな「知」の交流と蓄積を重ねる「場」を提供するオープンイノベーションハブとしての機能拡充を図っています。
情報化社会がこれからも発展を続けるためには、通信におけるエネルギー消費の大幅な改善が必要です。産総研が運営する「光ネットワーク超低エネルギー化技術拠点(VICTORIES)」では、これから特に重要となる超高精細映像情報を低消費エネルギーでやりとりできる「ダイナミック光パスネットワーク技術」の創出を目指しています。ここでは、協働企業10社と産総研に加えて大学などからの研究者が集うオープンイノベーション拠点を形成することにより、デバイスからシステムまでを含む一貫した技術を、垂直融合により研究開発しています。この拠点は2008年度に発足し、これまでにシリコンフォトニクス光スイッチや光パスコンディショニング技術といった要素技術を開発して来ました。後半の5年間では、これらの要素技術を集約して、ダイナミック光パスネットワーク技術のシステムレベルでの実証に取り組んでいきます。ここで得られた成果を協働企業と共に実際に社会へ普及させることが、フォトニクスをコア技術とするグリーンイノベーションの創出であると考えます。私達のこのような取り組みに対し、引き続き皆様のご理解、ご支援を宜しくお願いいたします。