研究目的

本研究は、高機能物性と力学的強度とを併せ持つタフコンポジット材料の創製を目的としています。高機能物性を有する無機粒子と、しなやかでタフな機械的特性を発現する環動高分子材料に着目し、無機粒子を架橋点とする両材料のコンポジット化を実現させるため、双方の合成反応場で用いられる“水”に代表される溶媒を、例えば超臨界化やプラズマ化することで複合化反応を促進させるような、革新的プロセス(先端アクアプロセス)を開発します。それと同時に、オペランド計測技術により実環境におけるコンポジット材料特性や反応場における反応種の生成効率や反応メカニズムを理解し、先端アクアプロセスの速やかな開発とタフコンポジット材料の実現とを目指します。

 

1)先端アクアプロセスとタフコンポジットの開発

タフコンポジット作製をはじめとする溶液プロセスと、超臨界プロセスやプラズマプロセスとを融合させた先端アクアプロセスを開発し、タフコンポジット材料の合成で鍵となるポリマーと無機粒子、また、これら粒子と溶媒との相溶性向上や、均一な混合を阻害する同種粒子間の凝集抑制などに効果的な粒子表面修飾・機能化を実現します。また、材料設計戦略に基づいて、タフコンポジット材料の実現に適したネックレス状の超分子であるポリロタキサンを合成し、無機粒子とのコンポジット化を図り、その構造解析や破壊挙動などの力学特性評価、熱伝導性や電気伝導性などの物性評価を行います。

   

2) オペランド計測によるプロセスおよび材料評価技術の開発

タフコンポジット作製においては、反応場における反応化学種や反応メカニズム、コンポジット中の無機材料粒子の分散状態やポリマーとの界面状態を理解することが重要です。ここでは、軟X線分光や紫外可視吸収分光によりアクアプロセスの水和構造や種々の化学種の計測、さらには、陽電子測定によるコンポジット材料の空隙構造解析のオペランド計測技術を駆使し、プロセス反応場や材料機能発現の基本原理の理解を進め、高分子設計、アクアプロセス、混錬プロセス開発にフィードバックし、コンポジット材料合成の加速を図ります。

  産業化に向けた取り組み

得られた成果は学会、展示会での発表に加え、定期的なワークショップにより速やかな情報発信を心がけます。材料メーカーとの連携に限定することなく、電子機器や自動車分野の強力なユーザーメーカーへの早期参画を呼びかけ、共同研究や技術移転を通じて、産業化に結びつけたいと考えています。