時間の単位である秒は、初め地球の自転による定義が用いられましたが、地球の自転には季節変動や経度変動などがあるので、1956年には地球の公転に基づく定義に変更されました。その後、さらに高い精度を出せる原子周波数標準の研究が進み、1967年にはセシウム原子の固有の周期に基づく秒の定義が第13回国際度量衡総会において採択されました。
現在、秒の定義として用いられている周波数は約9.2 GHzのマイクロ波ですが、マイクロ波に比べて約50000倍高い周波数をもつ光を用いると、さらに正確な時計を作ることが出来ます。この光周波数標準の正確さは、秒の定義を実現しているセシウム原子時計を凌駕しており、光周波数を用いた秒の再定義が検討されています。NMIJでは、光格子に捕捉された中性原子群の光領域の遷移周波数の基準として、超狭線幅レーザーを発振器として用いる「光格子時計」を開発しています。
時刻を国際的に比較して、時刻を正確に保持するために、各国では、電波を使った色々な方法で時刻比較を行っています。これらのデータは各国から国際度量衡局に送られ、それを基に国際原子時が作られています。当所では、GPS衛星を使って1億分の1秒(~10 ns)の時刻比較測定を行っており、国際原子時の作成に貢献しています。