相関がある不確かさの取り扱い方(例: 抵抗分圧比の校正)

 

GUM(International Organization for Standardization (ISO) Guide to Expression of Uncertainty in Measurement (1995))によれば、確率変数である入力量に強い相関がある場合には、合成標準不確かさ は、次式(「不確かさの伝播則」(Law of Propagation of Uncertainty))で表される合成分散 の正の平方根で与えられとされています。

 

 

 ここで、は入力量 の推定値であり、の推定共分散です。の相関の度合いは推定相関係数

 

 

から求めることができます。

 

 すなわち、もし入力量の個々の標準不確かさとそれらの相関係数がわかっていれば

 

 

の式から合成標準不確かさが求まることになります。

 

 ところが現実の測定系においては、これら測定の入力量にお互い相関があってその個々の標準不確かさが算出不可能であったり、あるいは相関係数そのものが求められず、むしろそれらが渾然一体となった他の複合入力量の方が合成標準不確かさ を算出するのに容易であったりすることがあります。

 

 そのような場合の卑近な例として報告されているのが、産総研の計量標準総合センター(NMIJ)の坂本泰彦氏の論文

 

坂本康彦,”相関がある不確かさの一取り扱い法”,産総研計量標準報告,2(2), 197(2003)

 

であり、「抵抗分圧比の校正」を相関がある不確かさの測定例として解説しています。実際、この手法はNMIJの「依頼試験校正 ZB.直流分圧比」の不確かさ評価で用いられています。