品質管理モデルと技能試験モデルの不確かさ評価の同等性の証明
いま特定標準液が3種類(特1、特2、特3)あって、その調製に不確かさがあるとした場合、その不確かさを見積もるのに、下記のような2種類の評価法(「品質管理モデル」(ある基準液をガスクロ分析の標準物質として使用して特定標準液の濃度を求め、それから調製の不確かさを見積もる方法をこのように呼ぶことにする)と「技能試験モデル」(3種類の特定標準液をガスクロの分析の標準物質として使用して基準液の濃度を別個に求め、それから調製の不確かさを見積もる方法をこのように呼ぶことにする))を採用したとき、「調製のずれ」(調製濃度の呼称濃度からのずれ)や「調製誤差」(調製濃度の真の値からのずれ)およびガスクロ分析の誤差が真の値に比してきわめて小さい限りは、どちらの方法を採用しても不確かさの値は同等になると考えられます。
1)品質管理モデル
特定標準液の真の濃度 yi = mi + δi ここで、mi は特定標準液の調製濃度
基準液の真の濃度 x0 = m0 + δ0 ここで、m0 は基準液の調製濃度
δは調製誤差である。
ガスクロ分析における特定標準液と基準液のピーク面積(それぞれaiとa0)は
ai = βyi + εi
a0 = βx0 + ε0
βはガスクロの感度係数で、εはガスクロ分析の誤差
特定標準液の真の濃度の推定値
ここで、Mを呼称濃度とすれば
mi = M + Δi Δは調製濃度の呼称濃度からのずれ
m0 = M + Δ0
であるから、
特定標準液の調製濃度miは呼称濃度Mとはそれぞれ異なるので規格化する必要がある。
すなわち、
と置き直せば、マクローリン展開の1次項までの近似により、特定標準液の測定濃度は
2)技能試験モデル
特定標準液の真の濃度 yi = mi + δi ここで、mi は特定標準液の調製濃度
基準液の真の濃度 x0 = m0 + δ0 ここで、m0 は基準液の調製濃度
δは調製誤差である。
ガスクロ分析における特定標準液と基準液のピーク面積(それぞれaiとa0)は
ai = βyi + εi
a0 = βx0 + ε0
βはガスクロの感度係数で、εはガスクロ分析の誤差
基準液の真の濃度の推定値
ここで、Mを呼称濃度とすれば
mi = M + Δi Δは調製濃度の呼称濃度からのずれ
m0 = M + Δ0
であるから、
基準液の調製濃度m0は呼称濃度Mとは異なるので規格化する必要がある。
すなわち、
と置き直せば、マクローリン展開の1次項までの近似により、基準液の測定濃度は
(参考:2変数のマクローリン展開)
2変数の関数のマクローリン展開は
となります。