独立変数と従属変数のどちらにも誤差がある場合の重み付き直線回帰分析(Demingの簡略法)

 

 確率変数である独立変数と従属変数の組

 

 

のような1次式の直線関係にあり、これに対応する観測値(測定値)が

 

               

 

のように、それぞれおよびの測定誤差をもっているものとします。また、およびをそれぞれ誤差およびの標準偏差とします。

 

 さて、問題はどのようにして回帰直線の母数の推定を行い、またおよびの推定値を求めるかと言うことが課題ですが、に対応する「重み」がわかれば通常の最小二乗法によってそれらの推定値を求めることができます。

 

 そこで、誤差およびの不偏分散をそれぞれおよびとし、その比があるとすると

 

               

 

のようになります。すなわち、はそれぞれ不偏分散およびに比例する量ですが、これらの逆数である、あるいはそれらの定数倍であるはそれぞれ誤差およびの「重み」に相当します。

 

 いま、独立変数と従属変数の推定値をそれぞれおよびとし、条件

 

               

 

の下で「重み付き平方和」をとすれば

 

               

 

を最小にして推定値を求めるのがDemingの方法です。上述の2つの式から

 

               

 

が得られますが、およびすべてのに関してこの量を最小になるようにします。

 

 ここで、観測値およびの平均値をそれぞれおよびとし、次のような量

 

               

 

を導入すれば

 

は次のような正規方程式

 

               

 

の解

 

               

 

として得られます。

 

また、

 

               

 

から求められ、推定値およびは次のようにして求めることができます。すなわち

 

               

 

とすれば

 

               

 

となります。最後に不偏分散およびの推定値は

 

               

 

のようにして求めることができます。は上述の式

 

               

 

から求められますが、

 

               

 

という式からも直接求めることができます。

 

この量

 

               

 

の式から推定値およびを算出したときのの最小値にに等しく、また

 

               

 

なる量は自由度のある種の分散(誤差分散)の推定値と見ることもできます。