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バイオ変換グループは、バイオマス資源から機能性化学品を生産するための研究開発を行っています。

TEL. 082-420-8284

〒739-0046 広島県東広島市鏡山3-11-32

研究内容RESEARCH

概要

 当グループでは、バイオマスなど再生可能資源等を原料に生物機能を利用し、化学品を安価に、そして効率的に生産するための基盤技術の研究開発を行っています。具体的には、バイオマス完全糖化の研究で培った酵素改変技術をもとに、酵素の耐熱化・高機能化による機能化学品生産技術の研究開発を行っています。また、発酵生産技術では、バイオマスを原料としたバイオエタノール生産研究で培った微生物育種技術をもとに、代謝工学的視点で機能化学品生産技術の開発を行っています。


研究課題

 当グループでは、酵素および微生物の高機能化による、機能性化学品の高生産化を目指しております。

T.構造解析に基づく有用酵素の高機能化と酵素生産微生物の育種
U.多様な宿主微生物を用いた機能性化学品生産技術の開発



(T)構造解析に基づく酵素の機能改変
CEO










 糖質関連酵素はバイオマス糖化だけでなく各種オリゴ糖をはじめとした食品産業用酵素としても広く利用されています。しかし、天然の酵素は熱安定性が低く、そのまま使用するのは困難であるのに加え、有用な機能性オリゴ糖を生成するには基質特異性の改変を行う必要があるため、現在、長時間安定かつ高性能な酵素の開発が望まれています。現在、我々の研究グループでは、糸状菌をはじめ超好熱菌やメタゲノム解析により単離された新規オリゴ糖生産酵素(糖転移酵素・糖質加水分解酵素)を中心にX線結晶構造解析に基づく酵素の耐熱化や酵素-基質複合体構造解析による基質特異性の改変といった高機能化を図ることで産業用酵素の開発を目指しています。酵素の耐熱化研究の一例として、これまでに我々は高セルラーゼ生産菌であるタラロマイセス・セルロリティカスから高いキシラナーゼ活性を有するエンド型キシラナーゼ(GH11)を同定し、その構造解析に基づく耐熱化に成功すると共にどのように耐熱化されたのかを分子レベルで解明しました。


(T)有用酵素とその生産微生物の育種改変
CEO

















 バイオマスは、様々な化学工業の原料となる糖や、付加価値の高いキシロオリゴ糖などの原料を供給するための有望な資源です。しかしながら、バイオマス中の多糖類の種類や構造は、原料種によって異なっているため、市販の酵素を用いた糖化プロセスでは必ずしも最適な糖化効率が得られません。産総研は、木質系、草本系、デンプン残渣系のバイオマスの糖化に効果的な糖化酵素を生産する糸状菌Talaromyces cellulolyticusを単離し、本菌の研究開発を進めてきました。現在は、T. cellulolyticusの分子育種技術を確立し、突然変異および遺伝子組み換えを組み合わせた酵素生産性の改善により、野生型株よりも10倍以上生産性が向上した菌株の開発に成功しています。また、個々のバイオマス原料に適した糖化酵素の種類や組成を明らかにし、標的バイオマスの分解にカスタマイズされた糖化酵素生産菌の開発に取り組んでいます。本菌由来の各種糖化酵素は、産総研MTA(Material Transfer Agreement)契約により広く提供が可能です。


(T)D-アミノ酸の新規合成法の開発

 アミノ酸には不斉炭素が存在するため、D-アミノ酸とL-アミノ酸の2種類の光学異性体が存在します。L-アミノ酸は生体内で様々な役割を担っているのに対して、D-アミノ酸は生物の細胞内には存在しないとされてきました。しかしながら、近年の分析技術の発展により、ヒトを含めた高等生物の細胞内で、D-アミノ酸が重要な生理機能を持つことが解明されています。それに伴い現在では、医薬品やヘルスケア製品などにD-アミノ酸が有効利用されはじめています。そこで、我々の研究グループでは、これまでの研究で得られた酵素工学的な知見や合成生物的な知見に基づいて、より効率良くD-アミノ酸を合成可能な生体触媒の創出を目指しています。


(U)有用物質高生産性酵母の育種
CEO























 発酵能力の高い出芽酵母は、六炭糖であるグルコースからのエタノール生産等に広く利用されています。一方、草や広葉樹などの木質系バイオマスの糖化液には、グルコースの他に五炭糖であるキシロース等が含まれており、野生型の出芽酵母は五炭糖を発酵できません。そのため、出芽酵母への五炭糖資化性付与や、五炭糖からエタノールをはじめとする有用物質への変換効率の向上のため、酵母の分子育種に関する研究を行っています。また、有用物質生産では、高温や酸性条件など、酵母にとって厳しいストレス環境での発酵能が要求されます。そのため、効率的な有用物質生産に向けて、耐熱性酵母や耐酸性酵母等に五炭糖資化性を獲得させる分子育種を進めるとともに、これらの耐性酵母から耐熱性や発酵阻害物質耐性を向上させる有用遺伝子を単離し、実用酵母に実装する研究開発も進めています。さらに、構造生物学的な観点から、一般的に耐熱性が低い五炭糖代謝酵素に変異を導入して、熱安定性を向上させる研究も進めています。


(U)大腸菌による物質生産
CEO

















 大腸菌は、遺伝子操作が容易であり、代謝経路が解明されていることから、種々の化学品を生産する大腸菌株が作製され、発酵生産に用いられています。また、バイオマスから糖類を調製すると、微生物が代謝しやすいグルコースのほかに、キシロースなどの代謝しにくい糖が混在した糖化液が得られます。糖化液を利用して大腸菌を培養すると、遺伝子機構の1つである炭素カタボライト抑制が働き、グルコースのみを選択的に代謝します。よって、糖化液を利用した発酵生産では、生産性や収率の低下を招いてしまいます。そこで、我々は、炭素カタボライト抑制を解除するとともに、大腸菌内にキシロース誘導型外来遺伝子発現システムを構築し、効率良く物質生産可能な大腸菌株を作製しました。


(U)再生可能エネルギーとCO2からの化学品の生産技術開発
CEO

























 地球温暖化対策としてバイオマス利用に関する研究が進められているなか、バイオマス資源由来の合成ガスを原料として嫌気性微生物を用いた化学品を生産するガス発酵法が注目されています。この嫌気性細菌は、その増殖基質としてグルコースなどの糖だけでなく、合成ガスの主成分である一酸化炭素(CO)や二酸化炭素(CO2)のガス基質を利用して生育することができる微生物です。バイオ変換グループでは、この微生物が特にCO2を原料として物質生産する能力に着目して研究を進めています。これまでに嫌気性細菌の遺伝子組み換え技術による分子育種、及び生産性向上のための新しい培養技術開発を行ってきています。
将来的には、製鉄所など大規模排出源由来の分離・回収CO2から様々な有用物質を生産することが考えられます。その際に必要な水素(H2)を、太陽光・風力等の再生可能エネルギー由来の電力、またはその電力による電解法で製造されたH2でまかなうことができれば、化石資源に頼らない新しい物質生産システムとなることが予想され、CO2固定化技術としても今後低炭素化社会の実現に貢献することが期待されています。


共同研究

 当グループでは、共同研究を希望されている企業、大学、公的研究機関を常時募集しております。
 ご興味がある方はグループ長の松鹿までご連絡下さい。

産業技術総合研究所
材料・化学領域
機能化学研究部門
バイオ変換グループ

〒739-0046
広島県東広島市鏡山3-11-32

TEL;082-420-8284
FAX;082-420-8291
メール;a-matsushika
末尾に@aist.go.jpをつけて下さい