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新しい画像計測をスマート社会の常識に!~高精度マーカによる3次元位置・姿勢計測~

リーグソリューションズ株式会社は、産総研が開発した新しい画像計測ツールを用いて、あらゆるカメラでの3次元位置・姿勢計測を可能にします。独自技術が結実した「高精度マーカ」は、従来のマーカよりも優れた性能を屋内外で発揮し、既存のシステムにコンパクトかつ低コストで組み込むことができます。計測・制御・AR・測位という幅広い応用分野を見据え、これからのスマート社会の実現に寄与します。

大森能成/Yoshinari Oomori

大森能成/Yoshinari Oomori

リーグソリューションズ株式会社 代表取締役。ソニーセミコンダクタにて、半導体生産設備の研究開発ののち医療機器系ベンチャー等で開発責任者として従事。その後、産総研にて高精度マーカの研究サポートを担当。2D、3Dの産業用画像処理ソフトウェア技術者として20年以上の経験を有す。2018年リーグソリューションズ株式会社を創業。

物理空間とサイバー空間をつなぐマーカ技術

物理空間とサイバー空間をつなぐマーカ技術

─ リーグソリューションズ株式会社が設立された経緯を教えてください。

大森能成さん(以下、大森):

2015年頃から私は、産総研主任研究員の田中(田中秀幸さん、技術顧問)の下でテクニカルスタッフとして高精度マーカの開発や実験などに関わってきました。私自身、半導体の生産装置や2次元・3次元の画像処理を何十年も扱ってきた中で、3次元のマーカーシステムというものに出会ったことがなかったんです。その有用性について田中と話し、将来性を強く感じたことが起業のきっかけです。製品化の目途が立ったことで2018年5月に会社として設立しました。

― 画像計測という技術を核に事業展開された狙いはどこにあったのでしょうか?

大森:

5Gのスタートや自動車の自動運転など、リアルタイムの画像処理、および3次元空間情報を利用する技術の実用化が近づいています。ここでは、現実の物理世界とサイバー空間の仮想世界を3次元的に対応付け、情報をやり取りする技術が重要です。弊社の高精度マーカは、カメラで撮影した1枚の画像を通じて、マーカを基点とした3次元の座標空間を構築することができます。つまり、高精度マーカを使うと、2次元の画像の中に3次元空間の情報を埋め込むことができ、これを利用して物理空間とサイバー空間をぴたりと重ね合わせることができる、ということです。デジカメ、スマートフォン等、あらゆるカメラでそれが可能になります。

画像処理と空間計測技術はますます重要になってきています。画像というものが一般的に使いやすくなってきている時代に、画像そのものの価値が上がってきているタイミングにリンクして、このマーカの事業も裾野が広がっていくのではないかという感覚があります。いろんな方に認識してもらい、現代の社会の役に立てると考えています。

他とは比べものにならないほど「高精度」なマーカ

他とは比べものにならないほど「高精度」なマーカ

― 「高精度マーカ」の仕組みについて教えてください。

大森:

高精度マーカはレンチキュラーレンズと細かい縞模様を組み合わせて製作しています。レンチキュラーレンズというのは、かまぼこ状の細いレンズを横に並べたもので、見る角度によって違う絵を見せる効果のある特殊レンズです。高精度マーカでは、絵が切り替わるのではなく、黒線が連続的に移動して見えるようにデザインしているのが特徴です。

このレンチキュラーレンズの部分を我々はリーグ(LEAG:LEnticular Angle Gauge)と名付けて展開していて、その技術をさまざまな形で使っていきたいという想いをリーグソリューションズという社名に込めています。

見る角度によって黒線が移動する

レンチキュラーレンズを用いたLEAGの構造

― 従来型のマーカと比べてどういったところが強みになっているのでしょうか?

大森:

機能としては従来のARマーカと同じ、X、Y、Z、roll、pitch、yawからなる位置と姿勢の6自由度を計測することができます。従来品は角度の測定精度が非常に低く、10度ものズレが生じ誤差が大きいという弱点がありました。本高精度マーカは、黒線の動きをカメラで撮影し、画像解析することで1度未満の角度が正確にわかります。

さらに、製造メーカーさんに非常に高精度なパターンを成型していただいたことで、位置情報も安定した計測が可能。数字にすると誤差1mm以下、1度以下というデータが取れ、従来に比べて10倍以上の精度があると言えます。マーカが見える限りその精度が保証できるレベルで測定できる。だからこそ我々はこのマーカを「高精度マーカ」と呼んでいるのです。

― この高精度マーカは、どのような分野への応用を考えていますか?

大森:

計測、制御、AR、測位の大きく4つの分野を考えています。まずは計測器として3次元計測や物体の動作トラッキングを行う計測分野。モーションキャプチャと同等の使い方もできます。制御分野は、自動運転やドローンなどのロボット制御において、角度と位置のデータを取得することで移動体を制御するシステムが組めるという応用につながっていきます。

AR分野でマーカは、主にゲームでキャラクターを登場させるための位置として使われます。現在ではスマートグラスなどで位置情報を出すガイダンスとしての利用も増えてきています。この分野では、安定して位置がわかると表示が滑らかに出せます。そこに非常に重要なリアリティを構築できるのが我々のマーカの利点と考えています。

測位については、現在GPSを使ったナビが多く利用されている分野です。我々のマーカの場合、平面上の2次元の位置だけでなく3次元の位置・姿勢のデータが取れるため、どの高さにいてどちらを向いているかということまでがわかります。その応用例としては屋内空間がターゲット。ビーコンなど他の方法もありますが、それに比べてミリ単位でデータが取れるものは存在していないので、屋内で高精度に位置がわかるシステムを提案することができます。測位用のマーカは10m離れてもカメラに映る大きなサイズで製作していて、黒線パターンも通常サイズのマーカとは違って線が敏感に動くようにつくっています。少しの角度でも線が動く仕組みで、誤差10cm以内、0.1度に収まる精度を実現しています。

用途に合わせて大きさが異なる高精度マーカ

マーカをカメラで撮影するだけで精密な測位が可能

時流を読み、さまざまな技術との共存を目指す

時流を読み、さまざまな技術との共存を目指す

― 高精度マーカ画像計測の製品としての展開について教えてください。

大森:

弊社では組み込み用のソフトウェアライブラリをご用意しています。我々としては、さまざまな分野に展開が可能であり、さまざまな方に使ってもらいたいという考えから、まず組み込みからスタートしているというわけです。私自身エンジニアだった経験から、位置測定ひとつに時間をかけたくない、本当にやりたいことは他にある、そう考えている多くの方に提供していきたいと思っています。

それに各社様が利用しているシステムやカメラをそのまま使っていただいて、弊社からはソフトウェアとマーカをお出しするので一緒に使ってみてください、というのが我々の思い。少しずつ使ってもらって、さまざまな分野で、たくさんの方と共創した方が今の時代らしいと考えています。

また、3次元空間のイメージ、計算の仕方、カメラなど難しいことには得手不得手があると思います。私の画像処理の知識と田中の持っている開発者としてのノウハウや応用分野の知見を駆使し、皆様をサポートします。

― 今後の事業展開における展望を教えてください。

大森:

自動運転で使われるLIDARやカメラ画像からの3次元形状復元など、他の計測技術が点の位置の3自由度を測るのに対して、本高精度マーカは点の位置と面の姿勢の6自由度を計測できます。1台のカメラで計測できるのでシステムがとてもコンパクトかつ低コストに構築できることが利点です。

自動運転、ロボット制御、位置情報と、その市場規模は30兆円を超えますが、その何十分の一かに寄与していきたいと考えています。技術には一長一短があり、補い合えればいい。だからシステム全体を「載せ替えてください」とは言いません。このマーカがすべてを解決するのではなく、あくまでも先進システムの一つとして「入れてみてください」というスタンスです。たとえばLIDARもビーコンも良い点はあります。それらが使いづらい環境下、電力インフラが整っていないところを、本マーカは電源なしでも使えるためサポートしていくという形です。

IoTのスマート社会では、人やモノの位置・姿勢・動きをサイバー空間に取り込むことが重要です。建物の外でも中でも活用できるように、社会インフラとして利用できるようにすることが大きな課題と言えます。5Gがこれからはじまるタイミングで、その中心を担うコアな方々に認識してもらうことが我々のスタート。徐々に表に表れて、人の目に触れるようになってくる時期を見計らって、この技術や製品を出していこうと考えています。ドローンが増えれば専用の制御も必要になり、測位も、画像も、未来に必要なものとしてピンポイントでつなげていくというのが我々のやるべきこと。さまざまな技術やシステムとシームレスにつながって、スマート社会を実現するために、この技術を役立ててほしいと思います。

※本記事内容は令和2年1月8日現在のものです。

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