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産業技術総合研究所

地質情報研究部門

島弧複合地質研究グループ



地殻岩石の研究では,活動的島弧の長期的挙動及び進化を解明するため,地殻の主要部分を構成する変成帯・深成岩体及びこれらに関連する地質体を対象とし,その形成において本質的な複合的地質過程(沈み込み帯中-深部での付加・変形・変成作用,島弧地殻中-深部での変形・変成・深成作用など)の系統的な調査・研究を行っています.

 


 

1. 高圧型変成帯の研究

 

白亜紀の高圧型変成帯を対象とし,構造地質学的・岩石学的手法により(1)高圧変成帯の内部構造の解明,構造境界の実態とその3次元的広がりを捉えます.さらに(2)各構造ユニットの形成条件及び履歴の解読を行います.加えて(3)熱モデル計算により高圧変成帯の形成・上昇の制約条件を推定し,沈み込む海洋プレートの運動学的・熱的特性との相関性を導くことを目標ととしています.

 

三波川変成コンプレックスの結晶片岩.
四国中央部上八川支流
(写真:宮崎一博)

三波川変成コンプレックスからなる四国中央部平家平
(写真:宮崎一博)

 


 

2. 深成岩体-高温型変成帯の研究

 

 
白亜紀の深成岩体-高温型変成帯-付加体を対象とし,(1) 高温型変成帯の内部構造を解明し,岩石学的手法により各構造ユニットの形成条件及び履歴の解析を行います.これらの結果をもとにメルト熱移流モデル計算を行い地質体形成の定量的制約条件を導き,島弧地殻中-深部に形成された異常高温領域の形成メカニズムを解明します.さらに(2)構造地質学的手法により花崗岩体内部に発達する大規模な剪断帯の形成機構についての研究を行います.加えて(3)岩石学的研究手法により高温型変成帯及び付加体に貫入する花崗岩体マグマやそれらに密接にともなう苦鉄質マグマの成因についての研究を行います.

 

領家片麻状トーナル岩に貫入される領家変成コンプレックスの
片麻岩.東海地方三河高原 (写真:宮崎一博)
領家変成コンプレックスの片麻岩からなる
東海地方三河高原 (写真:宮崎一博)

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