<平成19年(2007年)能登半島地震情報

2007年能登半島地震 臨時余震観測報告

2007年4月4日

文責:吉見雅行・吉田邦一・竿本英貴(活断層研究センター)・長 郁夫(地質情報部門)

2007年能登半島地震の本震では,穴水町大町,輪島市鳳至町,輪島市門前町,七尾市田鶴浜町で震度6強を記録しました. 我々は,3月26日に現地入りし,穴水町に2点,輪島市中心部に3点,輪島市門前町に3点の計8点に強震計を設置し,余震観測を行いました.観測装置には,センサーにJEP-6A3を,データロガーにLS-7000XTを用い,100Hzサンプリングの連続記録を取得しています(記録開始日時は図中に表示).

穴水では,幅約1km,長さ約2kmの平野に市街地が広がっています.本震では,K-NET観測点(ISK005)で速度振幅が約100 kineに達する速度記録が得られています.我々はGS.AYK(穴水町役場),GS.YPO(穴水郵便局,すぐ隣に被害家屋がありました)の2点に地震計を設置しました(図1).

GS.AYKは比較的硬い地盤が露出している地点です.一方,K-NET観測点は,地盤情報によると軟弱な地盤に位置しています.

 

図1 

 

輪島の市街地は,河原田川と鳳至川沿いに広がる平野に位置しています.東から,GS.WSB(輪島簡易裁判所,近くの社寺が被害を受けています),GS.WKW(輪島漆器会館,河井町,家屋全壊被害の見られた地区),GS.WFG(鳳至小学校,山際)に地震計を設置しました.

GS.WSBやGS.WKWは平野の中に位置しています.一方,GS.WFGは山際に位置しています.また,K-NET輪島観測点(ISK003)は,GS.WSBの東側の丘の斜面にあり,地盤情報によると岩盤上の観測点です.

図2

 

門前では木造家屋の倒壊など被害の大きい走出地区と道下地区に地震計を設置しました.GS.MHS(門前高校)は走出地区の山際,GS.MJD(門前児童館)は谷のほぼ中央,GS.MTG(門前町水質管理センター)は道下地区の西部に位置しています.

図3

 

全観測点で記録の得られた余震の速度波形を2例示します(図4,図5).

07/3/28 08:08 M4.9

図4

 

07/3/31 08:09 M4.4

図5

 

左から,穴水3点,輪島4点,門前3点での記録です.このうち,ISK003はK-NET輪島,ISK005はK-NET穴水での記録です.穴水では,GS.AYKの記録と比べ,GS.APO,ISK005では,かなり大きな振幅と長い継続時間を示しています.

観測されたいくつかの地震記録について,GS.AYKを基準に,GS.APOとISK005の水平動のフーリエスペクトル比を計算しました.1Hz付近で10倍以上の差が見られます.また,3 Hz, 5 Hz付近にもピークが見られます.

輪島では,ISK003やGS.WFGの記録は振幅がやや小さく,比較的継続時間が短いのに対し,GS.WSBやGS.WKWでは最大振幅が大きく,また,後続波が見られることがあります.GS.WSBとISK005は200m程度しか離れていませんが,波形の様子は大きく異なります.

 

 

GS.WFGを基準にしてフーリエスペクトル比を計算すると,平野に位置するGS.WSBやGS.WKWでは1 Hz付近に5~10倍の安定したピークが見られます.一方,ISK003では,5Hz以上では差が見られるものの,5Hz以下では特に大きな差は見られません.

図4右列に示した門前の波形(GS.MHS, GS.MJD, GS.MTD)を比較すると,谷の中央部の観測点であるGS.MJDやGS.MTGの波形には明瞭な後続波がみられます.

 

GS.MHSを基準にスペクトル比を求めると,1.2~2Hzで数倍程度の差はありますが,あまり明瞭ではありません.

 

謝辞:

観測に当たり,快く地震計を設置させていただいた皆様に感謝します.なお,防災科学技術研究所K-NETの記録を用いました.

 

これらの観測データの一部は,以下のリンクからダウンロードすることができます.なお,ダウンロードしたデータを用いて何らかの成果発表(ホームページ,学会,論文,マスコミ等)を行う際には,事前に当グループとの協議が必要になります.データについてのお問い合わせはメールフォームからお願いします.

 

観測データ(K-NETフォーマット,tar.gz圧縮済み)