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第2報 緊急調査報告

1.六日町盆地西縁断層帯の北方延長部で見られた地表変形


国土地理院が発行している「都市圏活断層図 小千谷」(渡辺ほか,2001)に示されている六日町盆地西縁断層帯の北方延長部で,長さ約1.7 kmの区間に渡って3地域の計5地点で,断層活動によると推定される地表変形が認められました.これらの変形量(水平短縮)は28日午後の調査時点で最大数cm程度と見積もられ,今回の地震の本震と一連の余震活動に誘発された,小規模な断層活動によって形成されてきた可能性があります.

調査地点1〜3:魚沼市の旧広神村小平尾(おびろう)で地震に伴う断層の地表変位が発見されたとの情報をうけて,調査を実施しました.

調査地点1:集落北東の国道352号線では,路面を横切ってたわみによる段差が生じていました(写真1).この段差の南東側では道路盛り土のコンクリートブロック壁や水路の壁に圧縮による変形もみられました.段差は,国道が小平尾断層の断層崖を横切る地点付近にあって,盛り土と地山との境界付近に位置しており,地震の揺れによる不同沈下の可能性もあります.


調査地点2:地点1の南東約30 mの神社北側の地点では,圧縮によるコンクリート製の集水桝の変形がみられました(写真2).


調査地点3:集落北部の旧国道では,消雪パイプのコンクリート枠の圧縮による座屈変形(写真3)や路面の圧縮による変形が認められます.26日午後3時頃の計測では,圧縮により盛り上がった側溝の高さは約12cmでしたが(写真4),28日午後3時頃の計測ではその高さは約15cmと大きくなっていました(写真5).付近の人の話によると,本震のあった翌日の24日朝には道路にわずかの隆起が見られ,その後,大きな余震の度に次第に隆起が大きくなって来たとのことです.


調査地点4:小平尾集落南部の舗装道路では,消雪パイプのコンクリート枠が圧縮を受け跳ね上がっているのが発見できました(写真6).跳ね上がりによる隆起量は28日午後4時頃で高さ約16cmでした.付近の人の話によると,23日の本震直後には高さ数cm程度の隆起がみられ,その直後の2回目の大きな余震で大きく跳ね上がったとのことです.


調査地点5:広神村小庭名の国道291号線の旧道では,消雪パイプのコンクリート枠が圧縮を受けて跳ね上がったり,道路側面のコンクリート水路が圧縮により変形しているのがみられました(写真7).(この地点は,(株)ダイヤコンサルタントの調査チームからの連絡を受けて調査を実施しました)







2.地盤災害の概要

地盤災害の状況は,共同通信社の取材ヘリに同乗して,短時間の空からの観察を中心に実施しました.

今回の地震では,東山丘陵を中心に既存の地すべり地域で大きな土砂災害が発生しました.とくに土砂災害が多かった山古志村では,既存の地すべり土塊が崩落して流動性の高い地すべりとなった事例(写真1)と,既存の滑落崖で山崩れが起こった事例とがみられました.また,信濃川沿いの河川敷や旧河道では,液状化によって噴砂現象があらわれており(写真2),その北限は少なくとも震央から40km余り離れた寺泊市岩方付近にまで達していることが確認できました.