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Last update '08/6/18 | |
2008年岩手・宮城内陸地震速報
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08/6/24 11:00 荒砥沢ダム(地点6)の位置図を差し替えました. 08/6/18 市営深山牧場東方(地点7)を追加しました. |
活断層研究センターでは,6月14日に発生した平成20年(2008年) 岩手・宮城内陸地震(Mj7.2)に伴う地表変状調査を6月15日から実施しています.余震域周辺に分布する活断層および地質断層沿いを中心に調査を行った結果, 1/20万分地質図幅「新庄及び酒田」で図示されている地質断層沿いの数地点で地震断層の可能性の高い地表変状が断続的に分布していることが確認されました.一方,北上低地西縁断層帯出店(でだな)断層沿いでは,地表変状は認められません.以下,各地点の概要を紹介します.なお,内容については,今後の詳細調査により修正・変更される場合があります.
東流する真打川の両岸を横切り,長さ400m以上にわたって道路,水田・畦道および河床を変位させる崖が認められます.その延びの方向(走向)は真打川左岸で北北東,真打川河床部で北東(小さな滝を形成),真打川右岸でほぼ東西と大きく湾曲しています.断面形状は,逆断層に典型的なバルジ地形や撓曲地形で特徴付けられます.変位については,西〜北側上がりで,北北東走向区間では左ずれ成分,東西走向区間では右ずれ成分を伴っていることから,ここでは北西側ブロックが南東方向に移動するような動きが推定されます.ここでの上下変位量は最大45cm程度です.
写真1:真打川左岸の南北走向部 写真2:上下変位 写真3:河床横断部
写真4:真打川右岸東西走向部 写真5 写真6 写真7
2. 上菅生沢(地点2) 水田や畦に東北東走向で北西側上がりの崖が認められます.
本寺小中学校西方のアスファルト舗装道路に西側上がりの段差が認められます.ただし,変状がその延長方向に追跡できないことから,その成因についてはさらに詳しい検討が必要です.
写真1
県道49号線を横切って,家屋,水田,アスファルト舗装道路などを連続的に食い違わせる南東側上がり(上下変位量は最大45cm程度)の崖が長さ250m以上にわたって連続しています.その北東部では,樹林に食い違いが生じたため,樹木が傾いている様子が認められます.
写真:西向き撮影 東向き撮影
ここでは,北東走向で北西側上がりの逆断層状の変形により南東向きの崖が形成されている様子が確認できます.ただし,こうした変状は北東および南西に連続せず,また変状は背後に発達する地すべり地形の範囲に限られることから,その成因としては地すべりによる可能性があります.
写真1 写真2
ほぼ南北方向に延びるアスファルト舗装道路上に北北西走向で西側上がりの段差が認められます.段差部分のアスファルトは緩やかに撓むとともに,左ステップする雁行亀裂が発達しています.道路のセンターラインおよび道路両脇の側溝はいずれも崖を境に右ずれしています.
簡易測量の結果,上下のずれは25〜30cm,右ずれ量は20〜30cm程度と計測されました.なお,本地点の地表変状は,国立大学法人愛媛大学工学部森伸一郎准教授から教えていただきました.
今後,各地点の性状をさらに詳しく調べるとともに,各地点でみられる変状の連続性の検討を行い,今回の地震と地表変状との関係を解明します.
・北上平野西縁断層帯出店断層:断層(撓曲区間を含む)を横切る複数の測線沿いで変状を調べましたが,いずれも断層運動に関連する変状は認められませんでした.
・一関−石越撓曲:撓曲を横切る複数の測線沿いで変状を調べましたが,いずれも断層運動に関連する変状は認められませんでした.
遠田晋次・丸山 正・吉見雅行