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技術資料2012 概要調査段階に必要となる調査項目と結果の妥当性判断

「放射性廃棄物の地層処分に係る安全規制制度のあり方について」(総合資源エネルギー調査会,2005)において,“立地点の選定プロセスは,現行の特廃法に基づき,調査の各段階で得られた情報を基に候補地点のサイト特性を評価し,また適地要件以外にも地域との関係,サイトアクセス性,コスト等の観点も加味して,段階的に選定が進められること”と定義されている. このプロセスは処分場として不適切なサイト特性を有する地点が除かれる過程でもある.

一方,“安全確保上サイト特性は最も重要であるが,サイト特性に関する情報は各段階において順次確度と精度が向上し,また全体的な安全の確保は人工バリアとの組合せにおいて確保されるため,立地段階において安全規制上の観点から個々の地点について処分が安全に実施できるとの判断を行うことは困難であり,また合理的ではない”ため,特廃法の立地プロセスに係る規制では,“NUMOの最終処分の実施計画,調査地区選定に係る報告書等に関し,安全に係る事項についてレビューを行うとともに,将来の安全規制を見通して,立地段階においても調査活動に係る品質保証を含むガイドラインの提示,適地要件への適合性やその根拠となる調査結果の妥当性等について判断を示していくこと”とされた.

事業者による概要調査に対しては,具体的には,最終処分法第7条第2項が定める要件に適合しているかを判断するための基準と,同第7条第2項第4号で規定された技術基準のうち,安全性に係る技術基準に相当する知見が必要とされている.

IAEAの一連の国際基準において,精密調査地区選定に係る調査は段階的立地選定の中で,Site Characterization Stage (IAEA, 1994)ないしSite Investigation Stage(IAEA, 2007)に相当すると考えられる.

IAEA SSR-5(2011)の要件15では,“The site for a disposal facility shall be characterized at a level of detail sufficient to support a general understanding of both the characteristics of the site and how the site will evolve over time. This shall include its present condition, its probable natural evolution and possible natural events, and also human plans and actions in the vicinity that may affect the safety of the facility over the period of interest. It shall also include a specific understanding of the impact on safety of features, events and processes associated with the site and the facility.”とされた.

これらによれば,調査結果にはサイトの現在の地質特性だけでなく,想定される変動事象を含む将来の予測が可能となる詳細さが求められており,将来の安全評価やSafety Caseに用いられることが要点である.この点が最終処分法第7条第2項第4号の技術基準に適用されるかどうかは今後の規制の検討に預けられているが,最終処分法の段階的立地選定の考え方によっても,地下の対象地層の地質構造に関するサイト調査結果は精密調査段階でも限定されており,概要調査段階で作成される地質モデルは最低限の将来予測を可能とするものでなければならないと考え,本資料を作成した.