- 技術資料:
- 概要調査の調査・評価項目に関する技術資料
-立地要件への適合性とその根拠となる調査結果の妥当性- - Technical Report on the Review and Assessment Features, towards the Submission of the Preliminary Field Investigations of HLW Geological Disposals. Geological Survey of Japan Open File Report
- PDF版の入手先はこちら→ 地質調査総合センター研究資料集, no. 560
本技術資料は,2007年に公開した「概要調査の調査・評価項目に関する技術資料−長期変動と地質環境の科学的知見と調査の進め方−」(産業技術研究所地質調査総合センター研究資料集no.459)に引き続き,高レベル放射性廃棄物の地層処分事業における立地選定時の安全確保に関する知見を,天然バリアを対象としてとりまとめたものである.
2007 年以降,立地選定段階の事業計画と国の安全規制に係る検討は段階的に進展しており,具体的な立地選定事業の調査内容やその調査結果に基づく選定結果の妥当性確認について,一定の議論が可能となってきた.そこで本技術資料では,概要調査による精密調査地区選定結果に対象を絞り,最終的な立地の許認可に至る段階を踏まえた概要調査段階での確認事項や評価対象を想定し,その内容の科学的合理性の確認方法を,主として安全規制の視点から検討した.
本技術資料の作成にあたり,原子力安全委員会ならびに総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会廃棄物安全小委員会の報告書等との整合性に留意し,内外の既往成果とともに,原子力安全・保安院から産業技術総合研究所深部地質環境研究コアが受託した事業成果も取りまとめの主要対象とした.しかしながら本報告書の記述は,これらの機関や規制庁の見解や判断を反映するものではなく,あくまで研究機関としての産業技術総合研究所の見解である点に留意いただきたい.
本技術資料の記述内容においては,引用表示のない部分はこの資料での初出記述である.また,受託事業等の内容の記述においては,委託元機関からの公開許可を得たもの,あるいは事前に公表済みの内容を引用している.
最後に,本技術資料をまとめるにあたり,処分の安全研究ならびに長期地質変動研究等に関して種々ご議論・ご指導いただいている皆様に加えて,原子力安全基盤機構,日本原子力研究開発機構,「地層処分に係る地質評価手法等の整備に関する検討委員会」の委員各位,そして原子力安全・保安院放射性廃棄物規制課に感謝いたします.また,レビュー版(2012.1.25版)については多くの地層処分及び地質分野の専門家の方々にご覧いただき,特に以下の皆様より貴重なご意見をいただくことにより,原稿は大きく改善させていただけました.ここに謝意を表します.
(敬称略)
鹿園直建 慶応義塾大学
杉山雄一 産業技術総合研究所
増田富士雄 同志社大学
田中忠夫 日本原子力研究開発機構
武田聖司 日本原子力研究開発機構
竹村恵二 京都大学
- 2012年3月28日
- 産業技術総合研究所
- 深部地質環境研究コア
- 渡部芳夫
目次
- 第1部 はじめに
- 第1章 精密調査地区選定のための調査の考え方:地質構造調査を例として
- 第2章 著しい地質変動が長期間生じていない事を示す判断の妥当性
- (1)浸食・堆積及び隆起・沈降
- (2)海面変化
- (3)地震・断層活動
- (4)火山活動
- (5)泥火山
- (6)大規模マスムーブメント
- 第3章 サイトの母岩の物理学的特性の評価に関する妥当性
- (1)岩石物性・力学特性
- (2)亀裂のモデル化手法
- 第4章 地下水流等に関するサイト特性評価に関する妥当性
- (1)ボーリング調査
- (2)水文調査
- (3)地下環境ベースライン調査
- a.地温の空間的把握
- b.地球物理モニタリング
- c.処分震度における水理特性
- d.間隙水圧分布形成と地下水流動・物質移行への影響評価
- e.生物化学調査手法
- (4)深部流体