TECH Meets BUSINESS
産業技術総合研究所が創出・支援するベンチャービジネス

音声を制する者が次世代ビジネスを切り拓く!
〜AIと音声認識技術の実用化〜

近年発展著しいAI(人工知能)とディープラーニング技術ですが、その中で音声認識はもっとも期待されている分野の一つです。東京・港区に本拠を置くHmcomm株式会社は、産総研で研究された最先端の音声認識技術を取り入れたAIプラットフォーム「THE VOICE JP」によるソリューション・サービスを提供、中小を含む多くの企業がビジネスリソースとして「音声ビッグデータ」を活用できる道を切り拓いています。

三本幸司 /kouji mimoto

三本幸司 /Koji mitsumoto

Hmcomm株式会社 代表取締役CEO。神奈川県横浜市出身。富士ソフト株式会社で技術畑一筋。ここで多種多様なソフトウェア開発の魅力にはまる。2012年に独立してHmcomm株式会社を創業。2014年に産総研発ベンチャー称号認定を受け、音声処理のディープラーニングの実用化及び人工知能との融合に挑む。

音声認識技術の実用化はこれから

「音声認識技術の実用化はこれから」

― 昨年、先進的な技術やサービスを提供するソリューションを表彰する「Microsoft Innovation Award 2016」で“審査員特別賞”“TheBRIDE賞”など受賞された御社の「The Voice JP」とは、どのような技術ですか?

三本幸司さん(以下、三本):

一言で言えば、産総研からの技術移転を受けて研究レベルで最先端な技術を実用化し、音声認識に特化したAIプラットフォームとしてリリースしたものです。
さまざまなビジネス現場では、日々多くの電話や対面による会話や打合せなどが行われております。音声認識技術によって音声という非構造化データを構造化データ=テキストに変換することができれば、今まで企業の中で風化されていた情報や埋もれていた情報から企業の生産活動の発展に応えられるようになるはずです。
近年、AI(人工知能)とディープラーニング技術の進展は著しく、画像診断や自動運転などに適用されている画像認識技術は、今シリコンバレーでは自動運転レベル4まで研究が進んでいますが、音声認識技術は認識精度にまだまだ改善の余地が必要です。今はAppleのSiri やOK googleなどの音声アシスタントやコミュニケーション・ロボットが多くの人に使われ始めていますが、プライベート利用ならともかく、非定常騒音下でも高い精度とセキュリティレベルが求められるビジネス利用においてはまだまだでしょう。特に日本語の音声認識は難易度が非常に高い。私も含めだれも文法通りにしゃべらないし(笑)、方言もありますしね。逆に言えば技術的なポテンシャルが高い分野であるわけで、弊社は最先端な技術をベースにした新しい音声認識技術と様々な技術の擦り合わせによって新たなマーケットを最速に創出していけると考えています。

「マーケティング手法としても注目」

「マーケティング手法としても注目」

― 具体的にはどのようなサービスを提供されているのですか?

三本:

現在、弊社は大きく3種類のサービス・ソリューションを提供しています。 まず、「VCRM」。これは金融機関の顧客管理(Customer Relationalship Management)向けのソリューションで、現在は三菱東京UFJ銀行の法人営業部向けにサービスを提供しています。銀行における業務の効率化はもちろん、テキスト化したお客さまの声から、営業や業務の課題解決や提案といった顧客サービス向上をも考えて導入されています。
次に「VContact」というコールセンター向けソリューションがあります。毎日、お客様との膨大な会話が交わされるコールセンターですが、このソリューションを導入することで、会話をリアルタイムにテキスト化し、さらに会話内容を自動要約することができます。効率化、省力化や迅速・適切なクレーム処理などに役立てるばかりでなく、集まった顧客の声からビジネスの課題を抽出し、営業や商品・サービス開発などに活かすマーケティングにも活用できるでしょう。 これらのソリューションは自社サーバー(オンプレミス)、クラウドのどちらにも対応していますので、お客様の実情やニーズ、セキュリティレベルに応じたサービスを提供することができます。
そして3番目は、ロボットやIoT機器向けに機械の聴覚として「VRobot」というソリューションを複数のロボットメーカーや装置メーカーに提供しています。
このほか、「音声認識+人力」で低価格・短納期・高品質を実現した文字起こしサービス「VCrowd」、動画や音声ファイルからの自動音声認識「VBox」など、弊社の最新技術をお気軽に試していただけるサービスも提供しており、これらのサービスを通じて、実音声データによる音声認識エンジンの強化も日々行っております。

「高い認識精度をローコストで」

「高い認識精度をローコストで」

― すでにさまざまな音声認識サービスがありますが、その中で御社のアドバンテージはどのようなところにあるのでしょうか?

三本:

「The Voice JP」には音声ビッグデータを分析するための必要最低限な「収集」「高速処理」「分析」「活用」を包括しており、最初の「収集」での精度が後々の処理の品質に大きく影響を及ぼすため、「収集の精度」つまり「音声認識の精度」の高さが一番の優位性であり、圧倒的な強みでならなければなりません。前述の「VCRM」では90〜95%という入力精度を誇っています。
さらに機械学習によりサービス導入後にシステムが未知の言葉や新しい言葉を自動的に学び続けます。業界用語はもちろん、社内特有の用語・言い回しや導入後の新商品・サービス名称、新入社員名なども社内データやインターネット上のテキストから学習し、日々、進化し続けているのです。

「AIが次に何をすべきか判断し、実行する時代」

「AIが次に何をすべきか判断し、実行する時代」

― これからの事業展開について教えてください。

三本:

わかりやすい、コールセンターのソリューションを例にしましょう。非常に近い将来にオペレーターを介さない自動対話で3〜5割の問い合わせを解決できるようになるでしょう。また、先ほど少し触れましたが今後、コールセンターが企業のマーケティング機能の最前線基地となり、弊社のVContactがお客様との対話から、企業の新製品を創出するようになります。非常に効率よく、新製品の企画や販売戦略が導き出される世界を創出してみたいですね。弊社の技術もこのような社会活動の劇的な変化に応じてさらに進化させねばなりません。今では一般的に監視(防犯)カメラの普及、活用がされていますが、我々の会話をモニタリングして、我々の次のアクションの最適解を導いてくれる・・・そんな未来の創出を真剣に考えています。

「スピーディーにお客様の声に応える」

「スピーディーにお客様の声に応える」

― なぜ産総研ベンチャーでの起業を目指されたのですか?

三本:

もともと私はソフト会社の富士ソフト株式会社に務めて勤めておりました。ここまで育てていただいた野澤会長には大変申し訳なかったのですが、音声認識技術のような新しい分野のブレークスルーに挑戦するためには、身軽でスピーディーな意思決定ができるベンチャーがふさわしいと思いました。産総研とは富士ソフト時代から交流がありましたし、音声認識技術についてもずっと関心を抱いておりました。よって、あまり悩まずに、自らの起業に至りました。将来的には、野澤会長にご報告できるような会社にしていきたいと常に思っています。

これからますます音声認識技術を含むAIがビジネスのカタチを大きく変えていくことでしょう。最も大切なのはこれからの5年、10年であり、産総研の先端技術と既存技術を擦り合わせて、既存の伝統あるマーケットのほんの少しでも、我々の手でリプレイスを引き起こせられればならないと思っています。それがベンチャーの強みでもあり、弊社の宿命と言えます。

音声認識のエキスパートたちが集うオープンな雰囲気のオフィス

現在、主力となっているコールセンター向けソリューション「VContact」

※本記事内容は平成29年1月13日現在の情報に基づくものです。

Hmcomm株式会社
〒105-0001
東京都港区虎ノ門2-9-14
郵政福祉虎ノ門第一ビル 4階
http://hmcom.co.jp/

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