人工臓器研究グループ

心疾患患者救命のため、数日から数ヶ月連続使用可能な体外循環ポンプの実用化を目指して研究開発を行っています。また、循環器系デバイスだけでなく、透析ポンプ、インシュリンポンプ、ならびに福祉機器の開発も併せて実施しています。

研究紹介

1. 長期体外循環を目的とした動圧浮上遠心血液ポンプの開発

重度心疾患患者の長期体外循環を目的に、非接触軸受である動圧軸受を用いた動圧浮上遠心血液ポンプを開発しています。これまでに、4円弧ラジアル動圧軸受を持つ動圧ポンプにおいて、軸受隙間と溶血の関係を明らかにするため、ラジアル軌跡計測と溶血試験を実施したところ、 せん断応力が300Paを超える軸受隙間(隙間20μm)で、溶血が急激に増加することがわかりました。また、血液適合性試験では、動圧軸受内には血栓形成を認めず、優れた抗血栓性を示すことがわかりました。今後、さらに軸受設計を中心に最適化し、長期に使用可能な動圧浮上血液ポンプの開発を目指します。

動圧浮上遠心血液ポンプの外観、動圧軸受の構造

2.体外循環ポンプの最適流体設計

血液適合性を有する人工臓器を実現するための評価技術として、流れの数値解析法、可視化計測およびインペラあおり計測等に関する基盤技術を確立し、種々人工臓器の流体性能の評価、および血液適合性に関わるせん断応力特性の評価手法確立を目指しています。これにより、血流特性に基づく血液適合性の最適流体設計が可能となります。

インペラ切欠きによるせん断応力への影響に関する数値流体力学
3Dプリンタモデル、金型射出成形モデル、および数値流体力学モデル間のポンプ性能比較。流れの可視化計測

3.遠心血液ポンプのin vitro血液適合性評価法

補助循環ポンプとして使用されている遠心血液ポンプの抗血栓性は、ポンプ内で発生する高せん断応力に大きく影響されます。そこで、外筒回転式二重円筒型のレオメータを使用して、物理的なせん断応力に対して、生化学的な血液凝固反応がどのように進行するかを定量評価しています。この評価法が明らかになることで、遠心血液ポンプ内で生じる塞栓症の原因となる血栓形成をコントロールすることが可能となります。

せん断速度と血栓形成時間の関係
せん断速度と血栓形成度の関係

4.可視・近赤外イメージングによる血液適合性評価手法の開発

遠心血液ポンプ内で生じる血栓を迅速に検出するために、ハイパースペクトラルイメージング(HSI)による血栓光学特性の解明及びイメージング法の開発を行っています。この方法が確立されれば、体外循環中の血液ポンプ内で生じた血栓を、ポンプを止めることなく検出することができるので、患者さんを塞栓症から防ぐことに貢献できます。

研究内容

5. 内視鏡手術手技トレーニングシステムの開発

主に内視鏡下鼻内手術を対象として、手技技能トレーニングを安全かつ効率良く行うシステムを研究開発:(1) 3次元印刷した手術操作可能な精密な患者モデル(産総研ベンチャーを起業して製品化)、(2) 患者モデルと仮想の「鏡」インタフェースを持つ遠隔手術手技指導システム(初心者向けから、個別患者モデルによるOJT・上級者向け症例共有・自習までをシームレスに支援) 、(3)患者モデルの開発過程・評価方法の標準化

仮想「鏡」インタフェースによる遠隔手技指導システム

メンバーと主な担当課題

人工臓器研究グループのメンバー写真

研究成果 
氏 名    役 職

主な研究テーマ

R

G.S.

PAT

AIST

西田 正浩  研究グループ長

遠心血液ポンプの血流解析、補助人工心臓の耐久性試験

R

G.S.

PAT

AIST

山下 樹里  主任研究員

内視鏡下鼻内手術手技トレーニング手法の研究

3次元印刷による手術可能な精密患者モデル開発

医療機器のトレーニング開発ガイドライン

R

G.S.

PAT

AIST

小阪 亮   主任研究員

動圧浮上遠心血液ポンプの開発

曲がり管を用いた質量流量計の開発

R

G.S.

PAT

AIST

迫田 大輔  主任研究員

循環器デバイス使用下における血液の非侵襲光診断

<研究成果の凡例>   [自動検索システムを使用] 検索結果には若干のノイズが入る場合があります。

AIST

産総研データベース:

PAT

産総研特許情報:

G.S.

Google Scholar:

R

ResearchID: