産総研北海道センター特許情報

発明の名称: 繊維状珪素、酸素、炭素系化合物の製造方法

特許番号第1991457号
出願番号特願昭62-265750号
出願日昭和62年(1987)10月20日
発明者下川 勝義、 関口 逸馬、 鈴木 良和、 矢部 勝昌、 植田 芳信、 山口 義明、 鵜沼 英郎
出願人工業技術院長
特許権者工業技術院長

発明の目的: 本発明は、特許第1609867号の改良法に関する発明である。珪素・酸素・炭素から成る繊維状体の収率を改善するために、 籾殻炭化物を=2ガスなど還元雰囲気下で熱処理することを特徴とする繊維質の製造法を提供する。

発明の効果: 本発明で得られるSiOC繊維は、耐熱性(空気中1,350℃)、耐酸化性、耐腐食性など優れた性質を持っている。 構造は真円の3相から成り、中心相はSiC、中間相はSiO、外相はSiO2に近い組成で、直径は反応条件で異なるが 40〜130nmのアスペクト比の大きな繊維で、電子材料としての利用が期待できる。

発明の概要: セラミックス反応管を備えた横型電気管状炉の中心に磁性容器に入れた籾殻炭化物を挿入し、 還元ガスを混入した不活性ガスを毎秒4.Ocm以下の線速度で流通させながら、 1,300〜1,550℃で加熱して気相中でSiOCを形成し、 これを反応管底部へ導き繊維状SiOCを析出成長させる無機繊維体の製造方法。

実施例: 籾殻炭化物の約1gを磁性ボートに入れ、電気炉の中心部に挿入し、水素50%を含んだ窒素ガスを毎分20ml流し、 反応温度は1520℃で2時間保持した後、室温まで冷却した。ボート内に生成した化合物のほとんどは結晶性の悪い炭化珪素 ( β-SiC)であった。
 本発明の繊維状の珪素・酸素・炭素系化合物(以下サイオックと言う)はボートの反応位置より離れた1100〜1200℃付近の 反応管壁にリング状に生成した。生成量は、出発原料(SiO2換算)1.Ogに対して0・35gであった。さらに水素90%以上含んだ 窒素ガス雰囲気中では、出発原料の85wt%がサイオック繊維に転換した。

関連文献:
1)下川勝義、関口逸馬、鈴木良和、矢部勝昌、植田芳信、 SiOC系セラミックス繊維の合成、日本セラミックス協会、 99, 9, 757 (1991)
2) K. Shimokawa, I. Sekiguti, Y. Suzuki, K. Yabe, Y. Ueda, Synthesis of Ceramic Fibers in the Si-O-C System, J. Ceram. Soc. Jpn. Int. Ed. 99, 9, 742 (1991)
3)下川勝義、関口逸馬、鈴木良和、植田芳信、高機能性無機繊維と非晶質材の開発と利用に関する研究 - 酸炭化系繊維の製造と その物性 -,北海道工業開発試鹸所報告,55, 1 (1992)
4)下川勝義、関口逸馬、鈴木良和、植田芳信、籾殻からのSi-0-C系繊維の合成 - 生成条件の解明 - ,日本セラミックス協会  学術論文集10, 9, 1127-1134 (1992)
5) K. Shimokawa, T. Sekiguti, Y. Suzuki, Y. Ueda, Synthesis of Si-O-C Fibers from Rice Husk Carbide  -Explanation of Formation Condition-, J.Ceram.Soc.Jpn.Int.Ed. 100, 9, 1111 (1993)