特許番号 | 第1901985号 |
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出願番号 | 特願昭61-2436797号 |
出願日 | 昭和61年(1986)10月13日 |
発明者 | 鵜沼英郎、 外岡和彦、 鈴木良和 |
出願人 | 工業技術院長 |
特許権者 | 工業技術院長 |
発明の目的: 真空蒸着法の欠陥を克服し、簡単な操作で比較的短時間に、大面積にわたって均一厚を持つ優れた 透明酸化タングステン薄膜の製造法の提供を目的としている。
発明の効果: 多価ケトン類や有機カルポン酸を混入させたアルコ-ル溶媒を用い、 これにタングステンエステルを溶解させて溶液としたことから、タングステン酸エステル溶液の保存時や 塗布時に生じやすい、吸湿による溶液の白濁化や、沈殿の生成を効果的に防止することが出来、 製品を安定的に製造することができる。
発明の概要: 改良した透明酸化タングステン薄膜の製造法に関するもので、タングステン酸エステルを アルコールを主成分とする溶媒に溶解したものを所望の基盤上に塗布し、乾燥して有機物を分解することにより、 かんたんな操作で比較的短時間に大面積にわたって均一な膜厚を持つ非晶質又は結晶質の透明酸化タングステン薄膜を 製造する方法。
実施例:
市販の試薬特級タングステンエトキシド2グラムをプチルアルコール30グラム、
アセチセトン0.5グラムの溶媒に117℃で30分還流して溶解し、この溶液にソーダライムガラスの板を浸漬し、
毎日10ミリメートルの速度で引き上げ、20℃で1時間乾燥させ、 350℃、 450℃、500℃の各温度で1時間から8時間
空気中で焼成した。得られた膜の平均膜厚はいずれも500オングストロームであった。350℃、1時間の焼成で
得られた膜のみが透明でかつ非晶質であり、他の条件で得られた膜は結晶質であった。
この膜の上にさらに同様な塗布・乾燥・焼成を1回施したところ、膜厚は1000オングストロームとなった。
関連文献:
1) Preparation of Transparent Amorphous Tungsten Trioxide Thin Films by a Dipcoating
Method, H.Unuma, K.Tonooka, Y.Suzuki, T.Furusaki, K.Kodaira, T.Matsusita:J. Materials Science
Letters, 5, p1248(1986)