産総研北海道センター特許情報

発明の名称:炭素複合体の製造方法

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特許番号第1778717号
出願番号特願昭63-286431号
出願日昭和63年(1988)11月11日
発明者森田 幹雄、 広沢 邦男
出願人工業技術院長
特許権者工業技術院長

発明の目的: 本発明は、炭素材料の性能の欠点を補いあるいは新たな性能を付与するために、炭素母材中に ナノオーダーの周期表第IV族の炭化物、元素あるいは酸化物の微細結晶を均一分散させた炭素複合材の製造を目的とする。

発明の効果: 本発明では、液相法によるナノコンポジットの製造において母材炭素の炭素化やグラファイト化の 促進と同時に微細結晶の均一分散を容易に調整できて、しかも量産化に適した炭素複合体の製造法を提供する。 かつ、反応条件と第IV族元素のハロゲン化物の適切な選択によって炭素前駆体の構造制御が可能である。

発明の概要: 有機化合物に、周期表第W族元素のハロゲン化物の少なくとも1種を加え、この混合物を 不活性雰囲気中300〜700℃に加熱して炭素前駆体を形成させるとともに、積極的に第四族元素を残留させ、 次いで不活性雰囲気下や還元雰囲気下で700〜3000℃において炭素化することを特徴とする炭素母体中に 周期表第四族元素炭化物や四族元素あるいは第四族元素酸化物が分散した複合体の製造方法。

図面:

4族ハロゲン化合物を用いたアントラセンの重縮合結果
Ex.No. C-173 C-185 C-184 F-37 F-36 F-38
Catalyst CCl4 SiCl4 TiI4 GeI4 ZrCl4 HfCl4
Sam./Cal
(g/g)
7/7.9 7/7.3 30/12 30/13 30/5.2 21/5.0
Product
amount(g)
7.4
(104%)
3.8
(55%)
29.9
(99%)
28.4
(95%)
27.3
(91%)
19.7
(94%)
H 3.67 3.25 2.84 2.82 3.91 3.89
C 87.87 88.72 70.93 73.93 79.06 77.78
M   1.31 2.86 5.70 5.65 9.52
Other 8.46 6.72 23.37 17.55 11.38 8.81


ゲルマニウム/炭素複合体のX-線回析図
(本複合体は潤滑性に富む)

関連文献:
 1) Carbonization of Polyaromatics. 1. Carbonization of Anthracene in CCI4,
   M.Morita, K.Hirosawa, S.Takeda and K.Ouchi, Fuel, 58 (4), p269 (1979)

 2) ハロゲン化炭素を用いた芳香族類の炭素化. 2.芳香族類の炭素化反応性と生成炭素成物質の性状、
   石油学会誌、 30、 (l) 、 p36 (1987)

 3) 4族ハロゲン化物を用いた芳香族類の炭素化(2)ZnCl4によるキノリンの重縮合と重縮合物の高温熱処理、
   高橋、 広沢、 日野、 森田、 蒲生、 武田、 竹野、 日本エネルギー学会誌、  73(9)、 p831(1994)

 4) 4族ハロゲン化物を用いた芳香族類の炭素化(4)ゲルマニウム・炭素複合体の 潤滑性、
   高橋、 広沢、 森田、 梅田、 日本エネルギー学会誌、 73(ll)、 plO13(1994)

 5) 4族ハロゲン化物を触媒とする芳香族類の重縮合と複合化炭素材の製造に関する研究、
   北海道工業技術研究所報告、 66号、 1996