特許番号 | 第1699865号 |
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出願番号 | 特願昭58-240554号 |
出願日 | 昭和58年(1983)12月19日 |
発明者 | 小谷川 毅、 山本 光義 |
出願人 | 工業技術院長 |
特許権者 | 工業技術院長 |
発明の目的: 従来、メタノールのような低級アルコールを触媒の存在下で脱水反応を行わせた場合、 メタノールの脱水反応が優先してジメチルエーテルが主成分となり、オレフインの収率は極めて低く、 産業上価値あるプロセスではない。そのため、低級オレフインや産業上利用し得る低級炭化水素、 例えば、ガソリン、ジーゼル油等、を収率良く合成するには新しい触媒の製造を目的とする。
発明の効果: 本発明触媒にメタノールを接触させた場合、エチレンおよびプロピレンが高収率で生成し、 あわせて、平均分子量が約156である分枝炭化水素も高収率で得られる。この場合、エタン、 プロパン等の直鎖炭化水素の生成はほとんどみられない。以上の傾向は、エタノールやプロパノールを共存させて 系内のエチレン、プロピレン分圧を増した系でも変わらない。加えて、メタノールにエタノールを加えた系では プロピレン収率を増し、プロパノールを共存させるとイソ-ブタン等の分枝炭化水素収率を増すことができる という特徴を有す。
発明の概要: ジルコニウムオキシ塩化物又は硝酸塩の水溶液にアンモニア水を加えて沈でんを作り、
水洗・乾燥後、500℃で焼成して触媒を調製する。また、ジルコニア-アルミナは所定の組成になるように、
ジルコニウムオキシ塩化物又は硝酸塩及び硝酸アルミニウム又は塩化アルミニウムを混合した水溶液に
アンモニア水を加えて共沈でんを作り、これを濾過、水洗して一旦乾燥させたのち、電気炉で焼成する。
この酸化物に対して所定量の硫酸アンモニウム水溶液を加え、十分含浸させる。これを乾燥したのち、
さらに電気炉で焼成して触媒を製造する。
低級アルコールからオレフィンならびに分岐状炭化水素の合成用触媒。
実施例:
調製した触媒を用いてメタノールの接触改質を行った。表の結果が示すようにエチレン、
プロピレンが高収率で生成している。
反応温度(℃) | *280 | 280 | *320 | 320 | *300 | 300 | *350 | 350 |
反応率 | 87.1 | 88.6 | 99.5 | 89.9 | 96.5 | 85.4 | 97.3 | 89.7 |
選択率 | ||||||||
水素 | - | - | 0.2 | - | 0.1 | - | 0.6 | こん跡 |
DME | 82.9 | 97.5 | こん跡 | 43.1 | 11.1 | 97.1 | 11.9 | 48.2 |
メタン | 0.2 | - | 1.5 | 2.0 | 0.2 | - | 4.0 | 4.8 |
エチレン | 8.2 | 1.5 | 40.4 | 25.2 | 8.1 | 1.8 | 37.7 | 22.7 |
エタン | - | - | - | - | - | - | - | - |
プロピレン | 5.2 | 1.0 | 31.5 | 15.7 | 5.4 | 1.1 | 31.1 | 14.7 |
プロパン | - | - | - | - | - | - | - | - |
イソ-ブタン | 3.5 | - | 26.3 | 3.7 | 2.7 | - | 14.7 | 5.4 |
正-ブタン | - | - | - | - | - | - | - | - |
油状生成物 | - | こん跡 | こん跡 | 5.8 | - | こん跡 | こん跡 | 3.7 |