産総研北海道センター特許情報

発明の名称:高密度炭素状物質の製造方法

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特許番号第1374255号
出願番号特廟昭57-180662号
出願日昭和57年(1982)10月14日
発明者森田 幹雄、 広沢 邦男、 吉田 雄次
出願人工業技術院長
特許権者工業技術院長

発明の目的: 有機化合物の炭素化は通常400〜700℃の高い反応温度で行われ、ガスやタールの放出を伴うため 炭素収率は低い。炭素化過程で活性な化学種を発生させることによって従来よりも低い反応温度で反応を促進させて、 炭素収率を向上させた炭素体の製造を目標とする。

発明の効果: 有機化合物を従来よりも低い反応温度で収率良く炭素化できる。かつ、反応条件や添加する炭素化促進剤の 選択によって、生成する炭素前駆体の構造制御が可能である。

発明の概要: 有機化合物の炭素化に当たり、低分子量ハロゲン化炭素を炭素化促進剤として添加することによって 従来よりも低い温度で重縮合を促進させて炭素状物質を製造する方法。四塩化炭素やクロロエタンなどは 熱的に不安定であるため、例えば200℃の低い温度でクロロラジカルなどへ解離する。これらのラジカルは化学的に 活性であるため有機物が存在すると有機物分子中の水素を引き抜き、連鎖的にラジカルを形成させて有機物分子の重縮合を 促進させることができる。このため、通常よりは低い反応温度で重縮合・炭素化を促進させるとともに、原料分子中の 炭素の残留量を増すので炭素状物の収率を向上できる。

実施例:
 Sus-32の静置式オートクレーブに合成樹脂と四塩化炭素を混合して入れ、反応温度350℃、2時間加熱した。

試料名ポリエチレンポリスチレンポリプロピレンフェノール樹脂
炭素化促進剤四塩化炭素四塩化炭素四塩化炭素四塩化炭素
反応温度(℃)350350350350
試料対促進材量(g/g)5/3.25/3.25/3.25/3.2
反応時間(hr)2222
炭化物1.20.84.04.5
HCl生成量0.62.3-0.3
ガス生成量0.050.070.010.04

 ポリエチレン、ポリスチレンなど通常の方法では炭素状物は生成しないが、本法では強制的なクロルラジカルの 水素引き抜き反応によって炭素状物が生成する。また、本反応条件下、ポリプロピレンでは炭素前駆体である 黒色状架橋体が生成する。